売却
税金、経費
不動産売却した年の固定資産税は誰が払う?
不動産売却をした年の固定資産税は誰が払う?
納税義務者は1月1日時点の所有者
不動産を売却した年の固定資産税は、「1月1日時点での所有者」が支払う責任があります。
これは、固定資産税の納税義務者を決定する際の基本的なルールです。
つまり、その年の1月1日に不動産の名義人であった人が、その年の固定資産税全額を支払う義務を負います。
このルールは、不動産が年中に売買された場合でも適用されます。
例えば、ある不動産が6月に売却された場合、その年の固定資産税は売却前の所有者が負担することになります。
なぜなら、1月1日時点でその不動産を所有していたのは売却前の所有者だからです。
売買契約において、この税金の扱いについて特別な取り決めがなされていない限り、法律上の義務は1月1日時点の所有者にあります。
売主と買主による日割り精算
不動産売却をした年の固定資産税の支払いについて、法律上は「1月1日時点での所有者」がその年の固定資産税全額を負担する義務があります。
しかし、実務上では、売主と買主の間で固定資産税を日割りで精算することが一般的です。
「売主と買主による日割り精算」とは、不動産を売買した年における固定資産税の負担を、売却された日にちに応じて、売主と買主で按分する方法を指します。
具体的には、売却が行われた日を基準にして、その年の固定資産税を365日で割り、日割り計算を行います。
そして、売却日までの期間は売主が、売却日以降の期間は買主がそれぞれ固定資産税を負担する形で精算します。
この精算は、売買契約の際に合意され、契約書に記載されることが多いです。
実際には、買主が全額を納付した後に売主に対してその年度分の固定資産税のうち、売却日までの分を返金する形で調整されることが一般的です。
この方法により、不動産の所有期間に応じた公平な税金の負担分担が実現されます。
地域や不動産会社によって異なる「起算日」に注意
不動産売却をした年の固定資産税については、通常、「1月1日時点での所有者」がその年度の固定資産税を全額支払う義務があるとされます。
しかし、売却に際して売主と買主の間で行われる固定資産税の日割り精算においては、「起算日」の取り扱いが重要なポイントとなります。
ここでいう「起算日」とは、固定資産税を日割り計算する際に基準となる日付です。
実際の取引においては、地域や不動産会社、または売買契約の条件によって、この起算日が異なる場合があります。
不動産の売買による固定資産税の精算で、起算日は1月1日と4月1日のいずれかにするのが一般的です。
1月1日を起算日とする場合は、売主の負担は1月1日から引き渡し日までの分、買主の負担は引き渡し日から12月31日までの分です。
4月1日を起算日とする場合は、売主の負担は4月1日から引き渡し日まで、買主の負担は引き渡し日から翌年の3月31日までの分になります。
起算日は地域による違いがあり、関東では1月1日を起算日、関西では4月1日を起算日とする傾向が見受けられます。
しかし、契約で別の起算日が定められている場合、税金の負担額が変わってきます。
そのため、不動産売買契約を結ぶ際には、固定資産税の精算方法や起算日について明確に合意し、契約書に記載することが重要です。
これにより、後々の誤解やトラブルを避けることができます。
翌年からは買主が納税義務者
不動産売却後の翌年の1月1日時点での所有者が買主である場合、その買主が固定資産税の納税義務者となります。
具体的にいうと、不動産が2023年の6月に売却されたとします。
2023年の固定資産税は、その年の1月1日時点での所有者である売主が支払う義務があります。
しかし、2024年の1月1日時点では、この不動産の所有者は買主に変わっています。
したがって、2024年度(およびその後)の固定資産税は買主が支払う義務を負います。
この原則は、不動産の所有権が移転した後における責任の所在を明確にするために重要です。
不動産売買においては、翌年以降の固定資産税に関しては、売主ではなく買主が納税義務者となるため、買主はこの将来の負担を考慮しておく必要があります。
また、不動産取引では売却年の固定資産税の日割り精算を行うことが一般的ですが、この取り決めは売却年に限定されるため、翌年からは買主が全額を負担することになります。
そもそも固定資産税とは?
固定資産税は、地方税の一種で、土地や建物などの不動産に対して課される税金です。
この税金は、各自治体によって徴収され、地方自治体の財源の重要な部分を占めています。
固定資産税は、不動産の所有者に対して毎年課税され、その不動産の公正な市場価値に基づいて算出されます。
具体的には、固定資産税の対象となるのは土地と建物が主であり、これらの資産の評価額を基にして税額が計算されます。
税率は一般的に固定されているわけではなく、地域によって若干の違いがありますが、国が定める基準内で自治体が定めます。
固定資産税は、その年の1月1日時点で不動産を所有している人に対して課税されます。
したがって、年間を通じて不動産の所有者が変わった場合でも、その年の税金は1月1日時点の所有者が負担することになります。
固定資産税の徴収は、地域の公共サービスやインフラの維持・向上に役立てられます。
例えば、教育、衛生、公共交通、道路維持、消防などのサービスの財源として重要な役割を果たしています。
納税額は、以下の計算式で求められます。
固定資産税 = 固定資産税評価額(課税標準額)× 税率
固定資産税評価額は、自治体が算定し、3年に1度見直されます。
なお、すべての土地建物に課税されるわけではなく、評価額が30万円未満の土地、評価額が20万円未満の建物には、固定資産税がかかりません。
この税金は、不動産を所有することの対価として社会に貢献するという観点から設定されています。
不動産の価値が高いほど、または所有する不動産が多いほど、支払う固定資産税も多くなります。
都市計画税との違い
固定資産税と都市計画税は、ともに不動産に関連する地方税ですが、その目的と課税対象において異なる点があります。
都市計画区域とは、すでに市街地となっている区域や、おおむね10年以内に市街化を計画している区域をいい、都道府県知事や国土交通省大臣によって指定されています。
都市計画税は、都市計画区域内の公共施設の整備や、都市環境の改善・発展を目的としています。
特に、新しい道路や公園の建設、下水道などの基礎インフラの整備など、より具体的な都市開発に関連するプロジェクトに資金を提供するために使用されます。
納税額は「課税標準額 × 0.3%」で計算されるのが一般的です。
しかし、自治体によって税率が異なりますので、不動産売買をする際は、都市計画税がかかるのか、どれほどの税率であるかを固定資産税とあわせて確認しましょう。
不動産売却後は確定申告を行う
不動産を売却して利益(譲渡所得)が発生した場合、その年の所得税の申告と納税を行います。
不動産を売却して得た利益は「譲渡所得」として所得税法で課税対象とされており、売却による利益が出た場合、個人はその事実を税務署に申告し、適切な税金を納める必要があります。
参考:不動産を売却した翌年の確定申告!申請時期や必要書類のまとめ
まとめ
不動産売却を行う際は、固定資産税の基本を理解しておくことが大切です。
さらに、売主と買主間で固定資産税の支払い比率を定める際には、その詳細が売買契約書に記述されていることを確認する必要があります。
不動産売却における固定資産税の取り扱いには、条件によって支払う金額が変化するといった複雑な点が多くあります。
そのため、信頼できて相談しやすい不動産会社を選ぶことが大切です。
不動産の売買でお困りの方は、売買の窓口までお気軽にご相談ください。
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