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【2025年9月最新版】中古住宅の買い時はいつ?金利上昇と物件価格の賢い見極め方
2025年に入って以降、日本銀行の金融政策変更を背景に、住宅ローン金利は上昇傾向を続けています。
「金利が上がっている今、中古住宅を買うのは損なのでは?」と感じる人も多いでしょう。
しかし、金利上昇局面だからこそ交渉しやすく、条件の良い物件を手に入れやすい“買い時”が存在します。
本記事では、2025年9月時点の最新金利動向を踏まえながら、中古住宅市場の変化、買い時の見極め方、そして住宅ローン戦略について詳しく解説します。
2025年9月の住宅ローン金利動向
変動金利は横ばいも、金融機関ごとの優遇差で条件に差
2025年9月現在、大手銀行の住宅ローンにおける変動金利は、引き続き年0.595%〜0.675%の水準で推移しています。
これは店頭表示金利からの優遇幅によって異なり、借入者の信用状況や銀行との取引内容(給与振込やカード契約など)によっても条件が変動します。
2025年7月には「DH住宅ローン金利指数」が1.031%と年初来最高値を記録するなど、市場全体では金利上昇の兆しが見られました。
しかし、多くの金融機関では依然として大幅な優遇金利を維持しており、実際に適用される金利はそれほど上昇していないのが現状です。
とはいえ、今後の日本銀行による金融政策の動向次第では、変動金利も時間差で引き上げられる可能性があります。
現時点で低金利に見えても、長期的な視点で見れば上昇リスクを抱える状況であるため、借入時の金利タイプ選びや返済計画には一層の注意が必要です。
固定金利は1.8〜1.9%台、フラット35は1.87%前後で推移
一方、固定金利型の住宅ローンでは、2025年9月時点での適用金利は1.8%〜1.9%台が主流となっています。
10年固定金利や全期間固定型では、前年に比べて明確な金利上昇が進んでおり、これまで固定型を選んでいたユーザーにとっても「高く感じる」水準に達しています。
また、長期固定型の代表格であるフラット35についても、9月の金利は1.87%〜1.93%程度と高止まり傾向にあり、安定志向の顧客にとっても慎重な判断が求められる局面です。
「将来的な金利上昇リスクを避けて固定金利を選ぶべきか」、「今の低水準を活かして変動金利でスタートするべきか」といった選択は、住宅購入後のライフプランや家計への影響を大きく左右します。
最新金利情報の比較だけでなく、将来の収支シミュレーションを踏まえた金利選びがこれまで以上に重要になっています。
中古住宅市場と金利上昇の関係性
2025年に入り住宅ローン金利がじわじわと上昇する中で、中古住宅市場にもその影響が明確に現れ始めています。
通常、金利が上がる局面では、ローンの借入コストが増えるため、購入者の負担が大きくなりやすく、住宅購入を控える動きが強まります。
これにより、マーケット全体の動きが鈍化し、以下のような変化が市場に生まれています。
①在庫の増加と物件の滞留
住宅需要が落ち着くことで、中古住宅の売れ残り物件が増加します。
これは「買い手が減少している」ことの裏返しでもあり、各地域で流通している物件数が目に見えて増えてきています。
とくに築年数が経過した物件や、郊外エリア、駅から遠いなど利便性に課題がある物件は、「数ヶ月〜半年以上売れない」というケースも増えてきました。
②価格交渉の余地が拡大
こうした状況の中で、売主側も“価格交渉に応じざるを得ない”場面が増加しています。
特に早期売却を希望するケースでは、「当初より数十万円〜100万円以上の値下げに応じる」といった事例も少なくありません。
売主にとっては金利上昇によって購入希望者が減少していることを十分に理解しているため、提示価格で売ることの難しさを感じているのです。
買い手にとっては大きなチャンスであり、「交渉力次第で大きな価格メリットを得られる市場」とも言えます。
③築年数・立地による価格の二極化
金利上昇の影響は一律ではなく、物件の条件によってその影響の現れ方が異なります。
都心部や駅近の人気エリアでは依然として需要が底堅く、大きな値下がりは起きにくい状況です。
一方で、郊外や築古物件、流動性が低いエリアでは買い手の足が遠のき、値引き交渉がしやすい状況となっています。
中古住宅市場は“二極化”が進行しており、買い手としては「どの立地・築年数に焦点を当てるか」が、価格と資産価値のバランスを考える上で非常に重要なポイントとなります。
掘り出し物を手に入れるには?
こうした市況の中では、情報収集スピードと交渉スキルが勝負の分かれ目になります。
・新着物件を常にチェックする
・価格変更・再掲載情報に敏感になる
・不動産会社と密に連携し、条件が整ったら即決断できる体制を作る
このように、交渉に適した物件を見極め、スピーディーに動ける体制を整えておくことが、掘り出し物件との出会いに繋がる最大の鍵となるでしょう。
中古住宅購入の狙い目はいつ?
住宅は一生のうちでも特に大きな買い物です。
だからこそ「いつ買うか」は価格と同じくらい重要な要素です。
特に中古住宅市場では、季節による需要の波やライフイベントによる流通量の増減が顕著に表れるため、それをうまく活用すればお得に買えるタイミングを狙うことができます。
①夏の閑散期(7月〜8月後半)
不動産市場における夏の時期(特にお盆を挟む8月)は典型的な閑散期です。
暑さの影響や帰省シーズンが重なることで、物件の内覧数は自然と減少し、全体的に市場の動きが鈍くなります。
結果、売主側が「今すぐ売りたい」と思っていても、買い手がなかなか現れない状況が生まれやすくなります。
夏は、
・価格交渉に柔軟な姿勢を取りやすい
・希望条件を通しやすい
・通常なら競争相手が多い物件もじっくり選べる
といった買い手に有利な条件が揃いやすく、交渉力を武器にできる時期と言えるでしょう。
特にお盆が明けた8月下旬〜9月初旬は、繁忙期に売れ残った物件が市場に残っている場合も多く、人気のエリアでも好条件の物件と巡り合えるチャンスが広がります。
②ライフイベントとの谷間(9月〜11月)
春(3〜4月)と年明け(1〜3月)は、転勤・入学・就職などライフイベントが集中するため、住宅需要が一気に高まる「繁忙期」となります。
一方で、9月〜11月の秋口はライフイベントが落ち着き、買い手の動きが比較的鈍る時期です。
市場に出ている物件数自体は春ほど多くないものの、
・繁忙期で売れ残った優良物件が値下げされて再登場する
・ライバルが少ないため、じっくり内覧・比較検討ができる
・年内売却を目指す売主が条件緩和を始める などの特徴があります。
物件選びの選択肢と交渉のバランスが最も取りやすいタイミングといえるのが、この「秋の谷間」なのです。
特に2025年は、金利の先行き不透明感があるため、年末にかけて「年内に売っておきたい」と考える売主が増える可能性もあり、10月〜11月は交渉しやすい“もう一つの狙い目”として注目されます。
金利上昇局面でのローン戦略
住宅ローンを組む際には、金利の種類(固定 or 変動)をどちらにするかが非常に重要な判断材料となります。
特に2025年のような金利上昇局面では「金利の安さだけ」で判断するのではなく、将来のライフプランや家計の変動を見据えた選択が求められます。
変動金利型の特徴
現在、多くの金融機関が提供する変動金利型ローンは0.5〜0.7%台と非常に低水準で、固定型に比べて毎月の返済額を抑えることができます。
初期費用や月々の返済負担を軽くしたい方には魅力的な選択肢です。
ただし、変動金利は将来的に金利が上昇すれば返済額が増加するリスクを伴います。
・「繰り上げ返済」で元本を早期に減らす → 金利が安いうちに積極的に元本を減らしておけば、将来の金利上昇リスクを抑えられます。
・5年ルール・125%ルールの理解 → 変動金利には「5年間は返済額が変わらない」「返済額は前回の1.25倍まで」という制限があるため、急激な返済額増加は防げますが、元本の減りが遅れるという側面もあります。
安易な安心は禁物です。
変動金利を選ぶ場合は、常に「将来の金利変動を見据えた柔軟な返済戦略」が求められます。
固定金利型の特徴
金利上昇の影響を受けず、返済額が一定なのが固定金利型の最大のメリットです。
将来の収支が安定して予測できるため、子育て・教育費・老後資金の計画を立てやすいという点で、ファミリー層や長期視点の方に特に人気です。
2025年9月時点では10年固定や全期間固定型で1.8〜2.0%台と、変動型に比べて高い水準にありますが、金利上昇が今後も続くとすれば「早めに固定しておく」という安心感は大きな価値を持ちます。
最近では「ステップダウン型」と呼ばれる以下のような仕組みも注目されています。
【ステップダウン型金利
→ 最初の数年間は低金利で、その後は固定金利になるタイプ。
変動型と固定型の“いいとこ取り”とも言える方式で、将来の上昇リスクを一定程度抑えつつ、初期の返済を軽くすることが可能です。
シミュレーションツールの活用は必須
各金融機関や住宅ポータルサイトが提供している「ローンシミュレーター」を活用すれば、
・金利別の返済総額
・月々の支払額
・金利変動による影響
といった情報を数値で可視化できます。
たとえば、「3,000万円を35年ローンで借りた場合、変動金利0.6%と固定金利1.9%で月々いくら差があるか?」などを即座に比較できるため、感覚的な判断ではなく、数値に基づいた戦略設計が可能になります。
「今の金利が低いから変動にする」「高いけど安心したいから固定」
どちらも間違いではありません。
ただし、選ぶべきは“自分のライフプランに最も適した金利タイプ”です。
将来の収入や支出、転職や子どもの進学といった人生の節目と照らし合わせて、長期視点で考えることが最も重要です。
迷ったら、複数の金融機関で仮審査を申し込み、金利と条件の両面から納得できる選択をしましょう。
中古住宅購入時の注意点
中古住宅は、新築に比べて価格が抑えられている分、コスト面での魅力が大きなメリットです。
その一方で、購入後に思わぬ追加費用やリスクが発生することも少なくありません。
購入前には「見た目の価格」だけでなく、物件の状態や将来性まで含めて総合的に判断することが大切です。
①築年数が古い物件の“見えないコスト”
築20年、30年を超えるような中古住宅では、内装がきれいでも給排水管や電気配線、基礎部分などの「見えないインフラ部分」が老朽化している可能性があります。
・キッチン・バス・トイレの設備交換
・配管・電気系統の全交換
・外壁塗装や屋根修繕
・シロアリ対策や断熱材の再施工
これらのリフォーム・修繕には100万円〜500万円以上の追加費用が発生することも珍しくなく、購入後に「こんなはずじゃなかった…」と後悔する場合もあります。
事前にリフォーム費用の見積もりを取ること、必要であればローンに組み込む準備をするなど、購入前からの戦略的な準備が重要です。
②耐震性・建物構造の確認は必須
1981年(昭和56年)以前に建築された住宅は、旧耐震基準で建てられている可能性があり、現行の耐震性能を満たしていない物件もあります。
地震の多い日本では、耐震性の低い住宅に住み続けることは安全面でも大きなリスクとなります。
インスペクション(住宅診断)の実施
・耐震診断や補強の必要性確認
・必要であれば耐震補強の費用見積もり
購入前にインスペクションを実施し、物件の安全性をしっかりチェックしておきましょう。
最近では売主が事前にインスペクションを実施している物件もあるため、情報を積極的に確認することが大切です。
③将来の資産価値・流動性も見極める
中古住宅は購入時の価格が安くても、売却時に思ったよりも値段がつかないということもあります。
・交通アクセス(駅徒歩、主要道路への接続)
・商業施設・教育施設など周辺環境の整備状況
・エリア全体の人口動態や再開発計画
「10年後に売るとしたら誰が買うのか?」という視点で選ぶと、将来的な資産価値の落ちにくい物件を見極めやすくなります。
今後は人口減少が続く中、郊外や地方エリアの住宅は資産価値が大きく下落する可能性もあるため、選定には慎重を期しましょう。
まとめ
2025年9月現在、住宅ローン金利は上昇傾向を続けていますが、その一方で中古住宅市場では在庫増や価格交渉のしやすさといった“買い手優位”のチャンスも生まれています。
特に7月〜9月の閑散期は、「良物件が残っている」「交渉余地が大きい」という理想的なタイミングが重なることから、多くの購入希望者にとって“狙い目の時期”と言えるでしょう。
また、金利タイプの選定やローン返済戦略の構築には、将来のライフプランや収支計画を見据えた判断が求められます。
金利が低い今のうちに変動型で始めるのか、それとも金利上昇リスクを見越して固定型で安心を取るのか。シミュレーターを使って慎重に検討しましょう。
中古住宅購入は「価格」だけでなく、「タイミング」「金利」「将来の価値」まで含めた総合的な判断が必要です。
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