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不動産売却後のふるさと納税|上限額が増える条件と注意点

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2026.07.06

不動産売却後のふるさと納税|上限額が増える条件と注意点

2026.07.06

不動産売却後のふるさと納税|上限額が増える条件と注意点売買の窓口】

不動産を売却した年は、ふるさと納税の上限額が通常より増えることがあります。

ただし、不動産を高く売れたからといって、必ず上限額が増えるわけではありません。

重要なのは売却価格ではなく、取得費や売却にかかった費用、特別控除を差し引いた後の課税譲渡所得です。

たとえば、マイホームを売って1,000万円の利益が出ても、3,000万円特別控除によって課税譲渡所得が0円になれば、譲渡所得に対する住民税は原則として発生しません。

そのため、不動産売却によるふるさと納税上限額の直接的な上乗せも、基本的にはありません。


特別控除後も課税譲渡所得が残る場合は、住民税所得割額が増え、ふるさと納税の上限額も増える可能性があります。

なお、課税譲渡所得が0円でも、不動産売却によって「合計所得金額」が増えると、基礎控除や配偶者控除などの適用に影響し、ふるさと納税の上限額が間接的に変わることがあります。


この記事では、不動産売却後にふるさと納税の上限額が増える仕組み、課税譲渡所得の計算方法、具体例、確定申告時の注意点をわかりやすく解説します。


※本記事は、2026年6月11日時点の国税庁・自治体の公表情報を基に作成しています。

税制や特例の適用要件は個別事情によって異なります。

実際の申告や寄附上限額の判断については、税務署、住所地の自治体または税理士にもご確認ください。


不動産売却後はふるさと納税の上限額が増える?

結論からいうと、不動産売却後に課税譲渡所得が発生し、住民税所得割額が増えた場合は、ふるさと納税の上限額も増える可能性があります。

ふるさと納税は、自治体へ寄附を行った場合に、一定の上限まで寄附額のうち2,000円を超える部分について、所得税と個人住民税から控除を受けられる制度です。

所得税では寄附した年の所得から控除され、住民税では原則として翌年度の税額に反映されます。

上限額を超えて寄附した部分は全額控除されないため、自己負担額が2,000円を超えることがあります。


不動産売却による影響は、次のように整理できます。

不動産売却の状況ふるさと納税上限額への主な影響
特別控除後も課税譲渡所得が残る増える可能性が高い
取得費・譲渡費用を差し引くと利益がない原則として直接の上乗せはない
3,000万円特別控除で課税譲渡所得が0円原則として直接の上乗せはない
売却損が発生した原則として増えない
マイホーム売却損の特例で他の所得と損益通算する上限額が下がる可能性がある
特別控除前の譲渡益で所得控除が変わる上限額が間接的に変動する可能性がある

売却価格ではなく課税譲渡所得で判断する

不動産の売却代金すべてが所得になるわけではありません。

土地や建物の課税譲渡所得は、原則として次の式で計算します。

課税譲渡所得
 =収入金額-取得費-譲渡費用-特別控除額


不動産を5,000万円で売却しても、取得費と譲渡費用が合計4,500万円であれば、特別控除前の譲渡所得は500万円です。

売却価格の5,000万円を、そのままふるさと納税のシミュレーターへ入力するわけではありません。


課税譲渡所得が0円でも、ふるさと納税は利用できる

3,000万円特別控除などによって課税譲渡所得が0円になっても、ふるさと納税自体が利用できなくなるわけではありません。

給与所得、事業所得、年金所得などがある人は、それらの所得に応じた通常の上限額までふるさと納税を利用できます。

「不動産売却による上乗せがない」ことと、「ふるさと納税の上限額が0円になる」ことは別です。


課税譲渡所得が0円でも上限額が変わる場合がある

注意したいのが、3,000万円特別控除と「合計所得金額」の関係です。

基礎控除や配偶者控除などの適用を判定する際は、原則として3,000万円特別控除を差し引く前の譲渡益を含めて合計所得金額を判定します。

そのため、特別控除によって課税譲渡所得が0円になっても、特別控除前の譲渡益が大きい場合は、基礎控除や配偶者控除などが縮小・不適用になることがあります。

その結果、住民税所得割額が変わり、ふるさと納税の上限額も間接的に変動する可能性があります。


不動産売却でふるさと納税の上限額が増える仕組み

ふるさと納税による控除は、大きく次の3つに分かれます。

控除の種類計算の概要
所得税の寄附金控除寄附額から2,000円を引いた金額を所得控除
住民税の基本控除(寄附額-2,000円)×10%
住民税の特例控除(寄附額-2,000円)×所定の割合

住民税の特例控除には、原則として、調整控除後・その他の税額控除前の住民税所得割額の20%という上限があります。

不動産売却によって住民税所得割額が増えると、この20%の枠も広がるため、自己負担2,000円に収まるふるさと納税額が増える方向に働きます。

ただし「住民税が50万円増えたから、ふるさと納税を50万円増やせる」という仕組みではありません。

実際の寄附上限額は、住民税所得割額のほか、上限計算に用いる所得税率相当の割合や所得控除、税額控除などを踏まえて決まります。


不動産の譲渡所得には住民税もかかる

土地や建物の譲渡所得は、給与所得や事業所得などとは分けて税額を計算する「申告分離課税」の対象です。

一般的な税率は、所有期間によって次のように異なります。

区分所有期間の判定所得税率住民税率
長期譲渡所得売却年の1月1日時点で5年超15%5%
短期譲渡所得売却年の1月1日時点で5年以下30%9%

所得税には、2037年分まで基準所得税額の2.1%に相当する復興特別所得税も加算されます。

所有期間は、購入日から売却日までの実際の経過年数ではなく、売却した年の1月1日時点で判定する点に注意してください。


所有期間10年超のマイホームには軽減税率がある

売却した年の1月1日時点で所有期間が10年を超えるマイホームは、一定の要件を満たすと、3,000万円特別控除後の課税長期譲渡所得に軽減税率を適用できる場合があります。

課税長期譲渡所得6,000万円以下の部分については、所得税率が10%、住民税率が4%になります。

一般の長期譲渡所得で使われる所得税15%、住民税5%とは異なります。

3,000万円特別控除と軽減税率は併用できます。

そのため、所有期間10年超のマイホームを売却した人が、一般の長期譲渡所得の住民税率5%で上限額を試算すると、ふるさと納税の上限額を過大に見積もるおそれがあります。


住民税の増加額と寄附上限額の増加額は同じではない

一般の長期譲渡所得が1,000万円発生した場合、譲渡所得に対する住民税は単純計算で50万円です。

1,000万円×5%=50万円

住民税所得割額が50万円増えると、その20%である10万円分だけ、住民税特例控除の上限枠が広がる可能性があります。

ただし、これは「ふるさと納税の寄附上限額が10万円増える」という意味ではありません。

特例控除額は、寄附額から2,000円を差し引いた金額に、所得に応じた割合を掛けて計算します。寄附上限額の増加分は、給与所得や所得控除、上限計算に用いる割合などによって変わります。


ふるさと納税に影響する課税譲渡所得の計算方法

ふるさと納税の上限額を試算する前に、不動産売却による課税譲渡所得を正しく計算しましょう。


売却による収入金額

収入金額には、通常の売却代金だけでなく、買主から受け取った未経過固定資産税・都市計画税の精算金も含まれます。

売買契約書だけでなく、決済時の精算書や通帳も確認しましょう。


取得費

取得費には、主に次のような金額が含まれます。

・土地や建物の購入代金

・建物の建築代金

・購入時の仲介手数料

・設備費

・改良費

・一定の登記費用や税金

建物については、購入代金や建築代金をそのまま取得費にできるわけではありません。

所有期間中の減価償却費相当額を差し引いて計算します。

これは投資用不動産だけでなく、自宅として使っていた建物にも必要な計算です。

購入時の契約書などがなく、実際の取得費を確認できない場合は、売却金額の5%を概算取得費として計算できます。


ただし、概算取得費を使うと取得費が実際より大幅に少なくなり、譲渡所得や税負担が増えることがあります。

古い通帳、住宅ローンの資料、購入時のパンフレット、分譲価格表など、取得費を確認できる資料が残っていないか探しましょう。


譲渡費用

譲渡費用とは、不動産を売るために直接かかった費用です。

代表的なものは次のとおりです。

・売却時の仲介手数料

・売買契約書に貼付した印紙代

・売却のために行った測量費

・土地を売るための建物解体費

・借家人に支払った立退料

・借地権を売る際の名義書換料

固定資産税、通常の修繕費、維持管理費などは、原則として譲渡費用には含まれません。


マイホームの3,000万円特別控除

一定の要件を満たすマイホームを売却した場合は、所有期間の長短に関係なく、譲渡所得から最高3,000万円を控除できます。

特別控除前の譲渡所得が2,000万円なら、控除額は2,000万円となり、課税譲渡所得は0円です。

特別控除前の譲渡所得が4,000万円なら、3,000万円を控除した後の1,000万円が課税対象になります。


ただし、以前住んでいた家であれば必ず適用できるわけではありません。

転居後の売却期限、過去の特例利用状況、売却相手との関係など、複数の要件があります。

また、課税譲渡所得が0円になる場合でも、特例を適用するには確定申告が必要です。


相続した空き家の特別控除

相続した一定の空き家を2027年12月31日までに売却し、要件を満たした場合も、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる可能性があります。

2024年1月1日以後の譲渡で、対象となる家屋や敷地を取得した相続人が3人以上いる場合、控除上限は2,000万円です。

相続税を支払っている場合は、一定額を取得費に加算できる「相続税の取得費加算」を利用できる可能性もあります。


相続空き家の特別控除と相続税の取得費加算は、原則として同じ譲渡に併用できません。

どちらを使う方が有利か、事前に試算する必要があります。


上限額が増えるケース・増えないケース

上限額が増える可能性があるケース

不動産売却によるふるさと納税上限額の増加が見込まれるのは、特別控除後も課税譲渡所得が残るケースです。

代表的な例は次のとおりです。

・投資用不動産を利益が出る価格で売却した

・土地を売却して利益が出た

・マイホームの売却益が3,000万円特別控除を上回った

・3,000万円特別控除の適用要件を満たさなかった

・相続空き家の特別控除を適用しても課税譲渡所得が残った

課税譲渡所得に対する住民税が増えれば、ふるさと納税の上限額も増える方向に働きます。


直接的な上乗せがないケース

次のような場合は、原則として、不動産の課税譲渡所得による直接的な上乗せはありません。

・取得費や譲渡費用を差し引くと利益が出なかった

・不動産の売却で損失が出た

・3,000万円特別控除などで課税譲渡所得が0円になった

ただし、特別控除前の譲渡益によって基礎控除や配偶者控除などが変わる場合は、住民税所得割額とふるさと納税上限額が間接的に変動することがあります。


売却損が出ると上限額が下がる場合がある

土地・建物の譲渡損失は、原則として給与所得や事業所得などの黒字とは相殺できません。

一方、一定の要件を満たすマイホームの譲渡損失については、給与所得などとの損益通算や、翌年以後3年間の繰越控除を利用できる場合があります。

これらの特例によって課税所得や住民税所得割額が減れば、ふるさと納税の上限額も下がる可能性があります。

令和8年度税制改正では、「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失」と「特定居住用財産の譲渡損失」に関する特例の適用期限が、2027年12月31日まで延長されています。


不動産売却後のふるさと納税上限額を計算する手順

1.課税譲渡所得を計算する

まず、売却による収入金額から、取得費、譲渡費用、適用できる特別控除を差し引きます。

課税譲渡所得
=収入金額-取得費-譲渡費用-特別控除額

売却価格ではなく、最終的にいくらの課税譲渡所得が残るかを確認してください。


2.長期譲渡か短期譲渡かを判定する

売却した年の1月1日時点における所有期間を確認します。

相続した不動産については、原則として被相続人の取得時期を引き継いで判定します。

自分が相続した日だけで長期・短期を判断しないようにしましょう。


3.給与など他の所得を確認する

ふるさと納税の上限額は、不動産の譲渡所得だけでは決まりません。

次のような所得や控除も含めて計算する必要があります。

・給与所得

・事業所得

・不動産所得

・年金所得

・社会保険料控除

・配偶者控除

・扶養控除

・医療費控除

・生命保険料控除

不動産売却で合計所得金額が増えると、基礎控除や配偶者控除などの適用額・適用可否が変わることがあります。

給与について年末調整が済んでいても、不動産売却後の合計所得金額によっては、年末調整で適用された控除を確定申告で修正しなければならない場合があります。


4.住民税所得割額を試算する

一般的なふるさと納税上限額の目安は、次の式で計算されます。

寄附上限額の目安
 =住民税所得割額×20%
 ÷{90%-上限計算に用いる割合×1.021}+2,000円


ここでいう住民税所得割額は、原則として、市町村民税と都道府県民税を合計した、調整控除後・その他の税額控除前の所得割額です。

「上限計算に用いる割合」は、単に確定申告書上の所得税率をそのまま入れればよいとは限りません。

通常は、住民税の課税総所得金額から人的控除差額を調整した金額に応じて判定します。

給与所得などの課税総所得金額がなく、不動産の譲渡所得だけが課税される場合は、一般の長期譲渡所得なら15%、一般の短期譲渡所得なら30%が基本になります。

ただし、所有期間10年超のマイホームの軽減税率など、別の税率が適用されるケースがあります。


また、課税総所得金額がない場合や、人的控除差額が課税総所得金額を上回る場合は、通常とは異なる割合が使われることがあります。

不動産の譲渡所得がある人は、給与収入だけを前提とした簡易シミュレーターでは正確に計算できない可能性がありますので注意が必要です。


5.上限ぎりぎりまで寄附しない

不動産売却がある年は、次の金額が年末まで確定しないことがあります。

・建物の減価償却費相当額

・実際の取得費

・譲渡費用

・医療費控除

・社会保険料控除

・適用する譲渡所得の特例

・住宅ローン控除との適用関係

上限額を過大に見積もると、自己負担額が2,000円を超えます。

試算額に余裕を持たせて寄附するか、売却益が大きい場合や複数の特例が関係する場合は、税理士に試算を依頼するのが安全です。


ケース別シミュレーション

以下は、仕組みを理解するための概算例です。

実際の上限額は、給与所得、所得控除、税額控除、住所地の自治体による計算などによって異なります。


ケース1|3,000万円特別控除で課税譲渡所得が0円になる

次の条件を仮定します。

項目金額
売却による収入金額6,000万円
取得費4,400万円
譲渡費用150万円
特別控除前の譲渡所得1,450万円
3,000万円特別控除1,450万円
課税譲渡所得0円


このケースでは、3,000万円特別控除によって課税譲渡所得が0円になります。

譲渡所得に対する住民税は原則として発生せず、不動産の課税譲渡所得によるふるさと納税上限額の直接的な上乗せはありません。

ただし、基礎控除や配偶者控除などの判定では、特別控除前の譲渡所得1,450万円が合計所得金額に影響します。

その結果、所得控除が縮小・不適用となれば、住民税所得割額とふるさと納税の上限額が変わる可能性があります。

したがって、「課税譲渡所得が0円だから、不動産売却はふるさと納税に一切影響しない」とは限りません。


ケース2|投資用不動産を売却して2,300万円の利益が残る

次の条件を仮定します。

項目金額
売却による収入金額6,000万円
減価償却後の取得費3,500万円
譲渡費用200万円
課税譲渡所得2,300万円


所有期間が長期に該当し、一般税率を適用する場合、譲渡所得に対する住民税は概算で115万円です。

2,300万円×5%=115万円


他の条件が変わらないと仮定すると、住民税所得割額が115万円増え、その20%である23万円分だけ住民税特例控除の上限枠が広がります。

115万円×20%=23万円


さらに、ふるさと納税の上限計算に用いる割合を20%と仮定すると、上限額の増加分は概算で次のようになります。

115万円×20%
÷{90%-20%×1.021}
≒33万1,000円

この約33万1,000円は、不動産売却による「上乗せ分」の概算です。給与所得などに基づく通常の寄附枠を含めた上限総額ではありません。

また、所得控除や住宅ローン控除、外国税額控除、適用税率などが変われば、実際の上限額も変わります。


ふるさと納税は不動産を売却した年の12月31日まで

不動産売却による所得を反映した上限額を使うには、原則として、不動産を売却した年と同じ年にふるさと納税を行う必要があります。

2026年の不動産売却によって上限額が増える場合、2026年中に支出した寄附が2026年分の寄附金控除の対象です。


2027年に寄附しても、2026年の売却益を基に寄附上限額が増えるわけではありません。

年末に寄附する場合は、申込みだけでなく、2026年12月31日までに決済や入金が完了しているかを確認しましょう。


売却年の判定にも注意する

不動産の譲渡日は、原則として買主に物件を引き渡した日です。

ただし、納税者の選択により、売買契約の効力が発生した日、一般的には契約締結日を譲渡日として申告することも認められています。

たとえば、2026年12月に売買契約を締結し、2027年1月に引き渡す場合、どちらの年の譲渡所得として申告するかによって、ふるさと納税を行う年も変わる可能性があります。

年をまたぐ取引では、寄附をする前に税務上の譲渡年を確認してください。


確定申告をするとワンストップ特例は無効になる

不動産売却で課税譲渡所得が発生した場合は、原則として確定申告が必要です。

また、3,000万円特別控除などを使って課税譲渡所得が0円になる場合でも、特例を利用するには確定申告をしなければなりません。

確定申告をすると、すでに提出したふるさと納税のワンストップ特例申請は無効になります。

ワンストップ特例を申請した寄附を含め、その年に行ったすべてのふるさと納税を確定申告書へ記載してください。


確定申告書では、寄附金控除に関する欄だけでなく、第二表の「住民税に関する事項」にある、都道府県・市区町村への寄附の欄にも記載が必要です。

この欄が未記入だと、住民税の寄附金税額控除が正しく反映されない可能性があります。

土地・建物の譲渡所得は、原則として譲渡した年の翌年2月16日から3月15日までに申告します。期限日が土日祝日に当たる場合などは日程が変わるため、申告する年の国税庁案内を確認してください。


不動産売却後にふるさと納税をする際の注意点

簡易シミュレーターだけで判断しない

一般的なふるさと納税シミュレーターの多くは、給与所得者の標準的なケースを前提としています。

次のような項目を正確に反映できない場合があります。

・不動産の申告分離課税

・マイホームの3,000万円特別控除

・所有期間10年超の軽減税率

・相続税の取得費加算

・譲渡損失の損益通算

・合計所得金額による所得控除の変動

・住宅ローン控除などの税額控除

「給与年収」と「不動産の売却価格」だけで判断しないようにしましょう。


建物の減価償却を忘れない

建物の取得費は、購入価格や建築価格から減価償却費相当額を差し引いて計算します。

購入価格をそのまま取得費として扱うと、譲渡所得を過少に計算することになります。

その結果、不動産売却にかかる税額だけでなく、ふるさと納税の上限額も誤って試算してしまいます。


3,000万円特別控除と住宅ローン控除の関係を確認する

マイホームの3,000万円特別控除や所有期間10年超の軽減税率は、新居の住宅ローン控除と一定期間内に併用できない場合があります。

どちらを利用するかによって、所得税額、住民税額、課税譲渡所得、ふるさと納税の上限額が変わる可能性があります。

旧居を売却して新居を購入した人は、ふるさと納税の寄附額を決める前に、特例の適用関係を確認しましょう。


納税資金を使い切らない

ふるさと納税は、先に自治体へ寄附金を支払い、その後に所得税や住民税の控除を受ける仕組みです。

不動産売却で多額の利益が出ても、売却代金のすべてを自由に使えるわけではありません。

次の支払いに必要な資金を先に確保しましょう。

・所得税・復興特別所得税

・翌年度の住民税

・仲介手数料

・抵当権抹消などの諸費用

・引っ越し費用

・新居の購入費用

・納税資金を確保したうえで、無理のない範囲で寄附することが大切です。


不動産売却とふるさと納税に関するよくある質問

Q.不動産を売却すれば、必ず上限額が増えますか?

必ず増えるわけではありません。

取得費、譲渡費用、特別控除を差し引いた後に課税譲渡所得が残り、住民税所得割額が増えた場合に、上限額も増える可能性があります。

利益が出なかった場合や、特別控除によって課税譲渡所得が0円になった場合は、原則として課税譲渡所得による直接の上乗せはありません。

ただし、特別控除前の譲渡益によって基礎控除や配偶者控除などが変わる場合は、上限額が間接的に変動する可能性があります。


Q.3,000万円特別控除とふるさと納税は併用できますか?

併用できます。

ただし、先に3,000万円特別控除を反映して課税譲渡所得を計算します。

控除後の課税譲渡所得が0円であれば、譲渡所得に対する住民税による直接的な上乗せは原則としてありません。

一方、特別控除前の譲渡益は、基礎控除などの判定に使う合計所得金額へ影響するため、ふるさと納税の上限額が間接的に変わる場合があります。


Q.売却損が出た場合も上限額は増えますか?

通常は増えません。

一定のマイホーム売却損について損益通算や繰越控除を利用すると、給与所得などに対する課税所得が減り、ふるさと納税の上限額が通常より下がる可能性があります。


Q.相続した不動産でも上限額は増えますか?

相続した不動産を売却して課税譲渡所得が残れば、上限額が増える可能性があります。

ただし、相続不動産では、被相続人の取得費や取得時期を原則として引き継ぎます。

さらに、相続空き家の特別控除や相続税の取得費加算が関係することがあり、通常の不動産売却より計算が複雑です。

相続空き家の特別控除と相続税の取得費加算は原則として併用できないため、どちらが有利かを比較する必要があります。


Q.不動産売却の翌年に寄附しても間に合いますか?

前年の売却益を基にした上限額には間に合いません。

2026年の売却所得を反映させるには、原則として2026年12月31日までに寄附金を支出する必要があります。

2027年に行った寄附は、2027年の所得に基づいて控除額が計算されます。


Q.課税譲渡所得が0円なら、不動産売却は上限額に影響しませんか?

必ずしもそうとは限りません。

譲渡所得に対する住民税は原則として発生しませんが、基礎控除や配偶者控除などの判定では、特別控除前の譲渡益が合計所得金額に含まれます。

所得控除の金額が変われば、住民税所得割額とふるさと納税上限額が変動する可能性があります。


まとめ

不動産を売却した年は、ふるさと納税の上限額が通常より増える可能性があります。

ただし、重要なのは売却価格ではありません。

次の順序で確認する必要があります。

1.売却による収入金額を確認する

2.取得費と譲渡費用を計算する

3.適用できる特別控除を確認する

4.課税譲渡所得を計算する

5.長期譲渡・短期譲渡の区分を確認する

6.給与など他の所得と所得控除を確認する

7.住民税所得割額と寄附上限額を試算する


3,000万円特別控除などで課税譲渡所得が0円になれば、譲渡所得に対する住民税による直接的な上乗せは原則としてありません。

ただし、特別控除前の譲渡益によって合計所得金額が増え、基礎控除や配偶者控除などが変わる場合は、ふるさと納税の上限額も間接的に変動する可能性があります。

不動産売却がある年は、給与収入だけを前提とした簡易シミュレーターを過信せず、上限額に余裕を持たせて寄附しましょう。

また、不動産売却について確定申告をすると、ふるさと納税のワンストップ特例は無効になります。ワンストップ特例を申請した寄附も含め、すべての寄附額を確定申告書に記載してください。