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中古住宅の購入は不安?安心してオトクにマイホームを買うためのポイント15選
中古住宅買取再販市場は2030年に22%増の5万戸と予測
新築住宅価格の高騰や、ライフスタイルの変化に伴い、中古住宅市場は拡大傾向にあります。
特に、不動産会社などが買い取ってリフォーム・リノベーションを施した後に販売する「中古住宅買取再販」市場は、近年注目を集めています。
矢野経済研究所が2023年12月に発表した調査によると、2030年の中古住宅買取再販市場規模は、2022年比22%増の5万戸に達すると予測されています。
これは、2022年の成約戸数4万1000戸から約9000戸増加する見込みです。
市場拡大の主な要因としては、新築住宅価格の高騰、中古住宅の品質向上などが挙げられます。
リノベーション技術の発達により、築年数の経過した中古住宅でも、新築同様の快適な住空間を実現することが可能であることも、人気の要因の1つとなっています。
中古住宅買取再販市場は、今後も拡大していくと予想されます。
購入を検討している人は、早めに情報収集を始め、自分に合った物件を見つけることが重要です。
中古住宅のメリット・デメリットをおさらい
まずは、中古住宅のメリット・デメリットをおさらいしましょう。
メリット
・新築よりも価格が安い
新築住宅の価格には、土地の価値に加えて建築にかかる費用、そしてデベロッパーや建築会社の利益などが含まれています。
これに対して、中古住宅の価格は市場の需要と供給、物件の状態や立地、年数によって左右されますが、一般的に新築時の価格から減価償却され、より手頃な価格で取引される傾向にあります。
価格が安いということは、同じ予算であれば、新築住宅よりも広い敷地や建物、もしくはより良い立地の物件を選ぶことが可能になります。
・お気に入りの町やエリアに住める
中古住宅の場合は、既に人気のある地区や条件の良いエリアに存在しています。
これは、理想とする地域での生活を実現する可能性が高まることを意味します。
・生活をイメージしやすい
新築住宅の場合、完成したばかりの空間には、まだ誰も生活の痕跡がなく、自分たちの生活がその空間にどのようにフィットするのかを具体的にイメージすることが難しい場合があります。
しかし、中古住宅では、既に家具の配置や日用品の収納スペース、室内の光の入り方など、生活が始まった際の様子を直接見ることができます。
これにより、自分や家族がその空間でどのように過ごすのか、日々の生活がどのように展開するのかを容易に想像することが可能になります。
また、既存の設備や改修された部分を見ることで、どのようなリフォームが必要か、またはどのようなリフォームが可能かについても、現実的な判断材料を得ることができます。
・「掘り出し物件」に出会える可能性がある
中古物件の中には、意匠や建材にこだわっている家があります。
一見すると年季が入っているようでも、少々手を加えるだけで魅力的に輝き出すような、磨けば光る掘り出し物件に出会える可能性もあります。
デメリット
・設備が古い
中古住宅の給湯器、冷暖房システム、キッチンの設備、衛生設備などが古くなっていることがあり、これらの設備は現代の技術基準や効率性に比べて劣っている場合が多いです。
古い設備には、エネルギー効率が悪い、故障しやすい、使い勝手が現代のライフスタイルに合っていないといった問題があります。
これらの設備を使い続けることで、光熱費が無駄に高くなる可能性があり、また、故障や不具合が発生した際には修理や交換にかかる費用が発生します。
・維持費用が新築より高い
維持費用の増加は、主に中古住宅の設備や構造が既に一定の年数を経過していることに起因します。
例えば、給湯器、冷暖房システム、屋根や外壁などの主要な設備や構造部分が老朽化している場合、これらを修繕したり最新のものに交換したりする必要が生じます。
古い設備はエネルギー効率が悪いことも多く、光熱費が上がる原因となります。
・住宅ローン控除を受けられない場合がある
中古住宅は、新築住宅に比べて価格が安いというメリットがある一方で、住宅ローン控除を受けるためには、いくつかの条件を満たす必要があります。
これらの条件は、新築住宅よりも厳格であり、ハードルが高いと言えます。
【主な条件 】
築年数: 鉄筋コンクリート造の場合は築25年以内、木造の場合は築20年以内でなければなりません。
耐震基準: 1981年6月1日以前に建築された木造住宅の場合は、耐震基準適合証明書の取得が必要です。
住宅性能評価書: 耐震等級1以上を示す住宅性能評価書の取得が必要です。
保険加入: 地震保険または火災保険への加入が必要です。
【条件を満たせない場合 】
上記条件を満たせない場合は、住宅ローン控除を受けることができません。
築年数が古い中古住宅を購入する場合、特に注意が必要です。
【参考】
国税庁 住宅ローン控除:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1212.htm
新築物件と中古物件のメリット・デメリットを徹底比較|後悔しないマイホーム購入:https://bai-bai.jp/column/detail/86
中古住宅を購入する前に確認すべき15のポイント
1.建物の構造に問題がないか
建物が安全で長持ちするために重要な構造的要素をチェックします。
基礎のひび割れや水漏れ、柱や梁に曲がりや損傷がないか目で見て確認します。
また、腐食や虫害の兆候もチェックします。
床下や屋根裏などの点検は専門知識が必要となるため、ホームインスペクションを利用すると安心です。
2.室内設備の確認
中古住宅購入時は、水回り、電気設備、暖房・冷房設備、ガス設備、換気システム、そしてドアや窓の状態を重点的にチェックすることが重要です。
水漏れ、排水の流れ、家電の動作、ガス漏れの有無、換気の効率、断熱や防音性能など、生活の安全性と快適性に直結する項目をしっかりと確認しましょう。
3.築年数の確認
築年数は単に建物の年齢を示すだけでなく、過去の法改正や建築業界の動向を反映しています。
これにより、建物の構造的な性能や設備の水準が予測できます。
例えば、耐震基準の改正や2003年から始まったシックハウス対策のための換気システムの導入などがあります。
さらに、1989年には断熱材の使用が義務付けられましたが、それ以前の建物では断熱性能に問題があることも考慮する必要があります。
また、中古住宅を購入して住宅ローン控除を利用する場合、対象となるのは1982年以降に建てられた物件であることが条件です。
4.水回りなどの設備
水回りの設備、特にキッチン、バスルーム、トイレなどは、家の中で故障や劣化が起こりやすい箇所です。
そのため、中古住宅を購入する際には、これらのエリアの状態を細かくチェックすることが非常に重要です。
具体的には、水を流して漏れが発生していないかテストし、以前に修理やメンテナンス(例えば、排水管の高圧洗浄)が行われた記録があるかどうかを確認することが勧められます。
これらの確認をすることで、将来的な追加費用を最小限に抑えることができます。
5.新耐震基準への適合
新耐震基準は、1981年6月1日以降に建てられた建物が対象で、この基準によれば、震度6強以上の地震にも耐えうる構造が求められます。
従って、1981年以降に建築された物件は、この新耐震基準を満たしていると見なすことができます。
地震による建物の倒壊は、修復に多大な費用が掛かり、大きな損失をもたらします。
自然災害は予測不可能なため、安全性を確保するためには、新耐震基準を満たす物件の選択が不可欠です。
6.再建築不可でないか確認
再建築不可とは、現在の建物を取り壊した後、新たに建築許可が下りない可能性がある状態を指します。
これは主に、建築基準法や地域の都市計画、用途地域の変更などによって生じる問題であり、特に法改正や地域計画の変更後に問題が顕在化することがあります。
【再建築不可物件の条件】
【条件1】敷地に接する道路の幅員が「4m未満」である
【条件2】敷地の前面道路の接道部分が「2m未満」である
【条件3】「建築基準法上の道路」に面していない
再建築不可物件を購入してしまうと、将来的に建物を建て替えることができなくなり、その土地の価値が著しく低下するリスクがあります。
さらに、万が一建物に重大な損傷が生じた場合、修復や再建築が不可能になる可能性も考慮する必要があります。
そのため、中古住宅の購入を検討する際には、不動産登記簿謄本や土地の測量図、建築確認申請書類などを通じて、物件の法的な制約をしっかりと確認ましょう。
7.土地の権利関係を確認
中古住宅購入の際は、対象物件に抵当権が設定されていないかを確認しましょう。
住宅購入時のローン契約により、多くの場合、債権者によって抵当権が設定されます。
抵当権が設定された物件は、抵当権が解除されるまで通常売却ができません。
このため、物件の登記簿謄本を確認し、抵当権の有無や他の権利関係を調査することが必要です。
最新の登記簿謄本は、不動産業者に依頼するか、物件が属する法務局で直接取得できます。
8.修繕の履歴
中古住宅の購入を検討する際には、過去の修繕記録をチェックすることが重要です。
設備の不具合は中古物件では一般的であり、適切に修理されていれば問題はありません。
しかし、同じ問題で何度も修理業者を呼んでいる、または雨漏りなどの問題が繰り返し発生している場合、購入後に想定外の高額な修繕費が必要になる可能性があります。
9.外壁の確認
外壁の平均寿命は約10年とされており、理想的には売主が10年ごとに塗り替えや防水処理を行っていることが望ましいです。
しかし、すべての物件がそのような状態にあるわけではありません。
築10年を超えていても、これまで外壁のメンテナンスが一度もされていない物件の場合は、購入後にすぐに塗装などの費用が発生する可能性があります。
そのため、物件購入の際には、これらのメンテナンスに必要な予算も考慮に入れなければなりません。
10.敷地の境界線の確認
中古住宅を購入する前に、敷地の境界線の確認を行いましょう。
境界線は、土地登記簿(登記記録)で確認できます。
正確な境界線の確認は、将来的に隣接地との間で生じる可能性のある境界線を巡るトラブルを回避します。
また、将来的に土地を売却する際にも、正確な土地の情報が有利に働く場合があります。
11.周辺環境の確認
物件の周囲環境や近くにどのような施設が存在するかも、購入の際には欠かせない検討事項です。
例えば、家族がいる場合は、近隣に公園や学校の有無、ショッピングの便利さなどをチェックすることが重要です。
また、年配のカップルにとっては、坂や階段の少ない地域かどうかが重要なポイントになります。
さらに、川沿いの物件では、洪水のリスクが高まるため、ハザードマップを事前に確認することが推奨されます。
12.なぜ売り出されたのかを確認
不動産会社は通常、重要な告知事項を事前に伝えますが、特に何も言われていない場合でも、物件が市場に出された背景を確認することが望ましいです。
例えば、仕事の転勤や実家への移住など、比較的単純な理由であれば問題ないと考えられます。
しかし、近隣とのトラブルなど、入居後に問題が生じる可能性のある理由で売りに出されている場合は、その物件を購入するのは避けるべきかもしれません。
13.資金計画をしっかりと立てる
住宅を探す過程で、理想はどんどん高まりがちです。
しかし、最初に定めた予算を超えてしまう家を購入すると、家計に重大な負担をもたらし、住宅ローンの返済に苦しむことになるかもしれません。
将来のライフステージ、例えば子育てや退職後の生活資金を踏まえ、返済が無理なく続けられるような資金計画を立ましょう。
14.ホームインスペクション(住宅診断)を受ける
ホームインスペクションとは、住宅購入前に専門家が実施する住宅の詳細な点検のことを指します。
この検査では、住宅の構造、電気系統、配管、屋根、基礎など、住宅の重要な部分が対象となります。
インスペクターはこれらのエリアを詳細に調べ、修理が必要な箇所や将来的な問題が発生する可能性のある箇所を特定します。
ホームインスペクションの目的は、購入者が家の現状を正確に理解することを支援し、意思決定の際により多くの情報を提供することです。
これにより、購入者は隠れた問題について事前に知ることができ、購入後に想定外の修理費用がかかるリスクを減らすことができます。
ホームインスペクションは2018年4月に宅建業法の改正によって、中古住宅の仲介時にホームインスペクション実施についての説明が義務化されました。
つまり、中古住宅を購入する際には、必ずホームインスペクション(住宅診断)の説明が行われるようになったということです。
あくまでも、説明が義務化されただけなので、ホームインスペクションの説明を受けて利用するか、しないかを自身で判断する必要があります。
15.既存住宅売買瑕疵保険への加入を検討する
既存住宅売買瑕疵保険は、中古住宅を購入する際に、購入後に発覚した雨漏りや建物の構造に関する重大な隠れた欠陥(瑕疵)に対して補償を提供する保険制度です。
この保険の加入には、資格を持つ建築士による検査費用を含めて、おおよそ6万円から10万円の保険料がかかります。
特に、売主が不動産会社の場合、この瑕疵保険が付いている物件も存在しますので、購入前にはその有無を確認することがおすすめです。
まとめ
中古住宅は、新築住宅よりも価格が安く、購入しやすいというメリットがあります。
一方、築年数が経過しているため、建物や設備の状態をしっかり確認することが重要です。
専門家の活用やホームインスペクションなども有効活用し、安心してオトクにマイホームを購入しましょう。
不動産の売買でお困りの方は、売買の窓口までお気軽にご相談ください。
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