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親からの資金援助でマイホーム購入|贈与税非課税の特例を解説

購入

資金計画

2026.07.20

親からの資金援助でマイホーム購入|贈与税非課税の特例を解説

2026.07.20

親からの資金援助でマイホーム購入|贈与税非課税の特例を解説売買の窓口】

マイホームを購入する際、親や祖父母から頭金などの資金援助を受ける方もいるでしょう。

ただし、家族間であっても、まとまったお金を無償で受け取ると、原則として贈与税がかかります。「親子だから」「祖父母から孫への援助だから」という理由だけで、税金がかからないわけではありません。

そこで活用を検討したいのが、「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税特例」です。

一定の条件を満たせば、親や祖父母から受け取った住宅取得資金のうち、省エネ等住宅では最大1,000万円、それ以外の住宅では最大500万円まで贈与税が非課税になります。

本記事では、わかりやすくするため、省エネ等住宅以外の住宅を「一般住宅」と表記します。

現行制度の対象となるのは、2024年1月1日から2026年12月31日までに受けた贈与です。ただし、非課税限度額の範囲内で贈与税が0円になる場合でも、特例を利用するには原則として贈与税の申告が必要です。


また、特例を利用するためには、贈与を受ける人の年齢や所得だけでなく、住宅の床面積、性能、取得時期、入居時期、名義など、さまざまな条件を満たさなければなりません。

資金援助を受ける予定がある方は、援助額だけでなく、贈与の時期や住宅の性能、引き渡し時期、住宅の名義、申告方法まで事前に確認しておくことが大切です。


今回は、親や祖父母から住宅購入資金の援助を受ける場合に利用できる非課税特例について、適用条件や申告方法、利用時の注意点をわかりやすく解説します。

※2026年6月12日時点で公表されている国税庁の情報を基に作成しています。適用条件は、住宅の種類や贈与の時期、過去の特例利用状況などによって異なります。実際に特例を利用する際は、所轄の税務署または税理士にもご確認ください。


親からの住宅購入資金援助に使える非課税特例とは

「住宅取得等資金の非課税特例」とは、父母や祖父母などの直系尊属から、住宅の新築・取得・増改築等に使うための金銭を贈与された場合に、一定額まで贈与税を非課税にできる制度です。

主に、次の目的で受け取った資金が対象になります。

・マイホームの新築

・新築住宅や中古住宅の購入

・自宅の一定の増改築やリフォーム

・住宅の新築や取得と一体となった土地の購入


対象になるのは、住宅の購入・新築・増改築等に充てるための金銭です。

税法上、このような資金を「住宅取得等資金」といいます。

親が所有する住宅そのものを子へ贈与する場合は、金銭の贈与ではないため、この特例を利用できません。


父母だけでなく祖父母からの贈与も対象になる

制度名にある「直系尊属」には、実父母だけでなく、祖父母も含まれます。

配偶者の父母や祖父母は、自分にとっての直系尊属ではありません。

妻の父母から夫へ資金を贈与する場合、夫は妻の父母の直系卑属ではないため、夫自身は原則としてこの特例を利用できません。


配偶者の父母からの援助で住宅を購入する場合は、その実子である配偶者が贈与を受け、資金負担に応じた住宅の持分を取得する方法などを検討します。

ただし、配偶者の父母と養子縁組をしている場合などは、取り扱いが異なることがあります。


非課税限度額は500万円または1,000万円

非課税限度額は、取得する住宅が「省エネ等住宅」に該当するかどうかで変わります。

住宅の種類非課税限度額
一般住宅最大500万円
省エネ等住宅最大1,000万円

省エネ等住宅として最大1,000万円の非課税枠を利用するには、一定の住宅性能基準を満たし、住宅性能証明書などの書類によって証明する必要があります。


省エネ等住宅の条件

新築住宅または建築後に使用されたことのない住宅の場合、次のいずれかの性能基準を満たす必要があります。

性能区分主な基準
省エネルギー性能断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上
耐震性能耐震等級2以上または免震建築物
バリアフリー性能高齢者等配慮対策等級3以上

建築後に使用されたことがある中古住宅や、増改築した住宅については、省エネルギー性能の基準が一部異なります。

中古住宅や増改築した住宅では、断熱等性能等級4以上または一次エネルギー消費量等級4以上で、省エネ等住宅に該当する場合があります。


また、次の住宅には経過措置があります。

・2023年12月31日までに建築確認を受けた住宅

・2024年6月30日までに建築された住宅


これらの住宅は、断熱等性能等級4以上または一次エネルギー消費量等級4以上のいずれかに適合し、必要書類を提出することで、省エネ等住宅に該当する場合があります。

「省エネ住宅として販売されている」という説明だけで、税制上の省エネ等住宅に該当するとは限りません。


非課税枠は毎年リセットされない

非課税限度額は、贈与を受けた人ごとに判定されます。

2024年以後に、すでにこの特例を利用して非課税となった金額がある場合、翌年以降に利用できるのは、原則として限度額から利用済みの金額を差し引いた残額です。


省エネ等住宅を取得する人が、2025年に400万円の非課税特例を利用していた場合、2026年に利用できる非課税額は、原則として次のようになります。

1,000万円-400万円=600万円

500万円または1,000万円の非課税枠が、毎年新たに付与されるわけではありません。


贈与税非課税の特例を利用する条件

特例を利用するには、贈与を受ける人、取得する住宅、資金の使い道、取得時期、入居時期などについて、すべての条件を満たす必要があります。

親から住宅購入資金を受け取っただけで、自動的に非課税になる制度ではありません。


贈与を受ける人の主な条件

贈与を受ける人には、主に次の要件があります。

確認項目主な要件
贈与者との関係贈与者の子や孫などの直系卑属である
年齢贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上
所得合計所得金額が2,000万円以下
小規模住宅の場合床面積40㎡以上50㎡未満の場合は、合計所得金額1,000万円以下
資金の使用翌年3月15日までに資金全額を住宅取得等に充てる
住宅の所有受贈者本人が住宅の所有権または共有持分を取得する
居住翌年3月15日までに居住するか、その後遅滞なく居住する見込みがある
住所原則として贈与時に日本国内に住所がある

所得要件は、給与の額面である「年収」ではなく、税法上の「合計所得金額」で判定します。


過去に特例を利用した人は要確認

2009年分から2023年分までの贈与税申告で、住宅取得等資金の非課税特例を利用した人は、一定の場合を除き、原則として現行の特例を利用できません。

また、2024年以後に特例を利用した人は、すでに非課税となった金額を、現行の非課税限度額から差し引く必要があります。

過去に住宅取得資金の贈与を受けたことがある人は、以前の贈与税申告書や適用した非課税額を確認しておきましょう。


購入する住宅の主な条件

新築または購入する住宅には、主に次の要件があります。

・日本国内にある

・登記簿上の床面積が40㎡以上240㎡以下

・床面積の2分の1以上を受贈者本人の居住用に使う

・受贈者本人が所有権または共有持分を取得する

・配偶者や親族など一定の特別な関係にある人から取得した住宅ではない

・配偶者や親族など一定の特別な関係にある人との請負契約によって新築・増改築等をした住宅ではない


床面積は、物件広告や販売パンフレットに掲載されている面積ではなく、原則として登記簿上の面積で判定します。

マンションの場合は、廊下や階段などの共用部分を含まない、専有部分の登記面積を確認してください。


中古住宅の条件

中古住宅は、原則として次のいずれかに該当する必要があります。

・1982年1月1日以後に建築された住宅

・耐震基準に適合していることを一定の書類で証明できる住宅

・取得後に所定の耐震改修を行い、期限までに耐震基準への適合を証明できる住宅

旧耐震基準の住宅でも、条件を満たせば対象になる可能性があります。


ただし、取得前の申請や取得後の耐震改修、証明書の取得などが必要です。

物件を購入してから手続きを始めると間に合わない場合があるため、契約前に確認しましょう。


リフォーム資金に使う場合の条件

親から受け取った資金をリフォームに使う場合も、一定の増改築等であれば特例の対象になります。

主な条件は次のとおりです。

・受贈者本人が所有し、居住している住宅への工事である

・工事後の床面積が40㎡以上240㎡以下

・床面積の2分の1以上を本人の居住用に使う

・工事費が100万円以上

・工事費の2分の1以上が本人の居住部分にかかる

・一定の対象工事であることを証明書で確認できる


対象工事であることは、確認済証、検査済証、増改築等工事証明書などで証明します。

家具や家電の購入費、対象工事に該当しない軽微な修繕費は、原則として住宅取得等資金の非課税特例の対象になりません。


住宅取得と入居の期限

贈与を受けた人は、原則として、贈与を受けた翌年3月15日までに、贈与された資金の全額を住宅の新築・取得・増改築等に充てる必要があります。

入居についても、翌年3月15日までに住み始めるか、同日後、遅滞なく入居することが確実と見込まれていなければなりません。

贈与を受けた翌年12月31日までに入居していない場合は、原則として特例を利用できなくなり、修正申告が必要です。


注文住宅は工事の進み具合にも注意する

注文住宅では、翌年3月15日までに建物が完全に完成していなくても、一定の段階まで工事が進んでいれば、「新築の工事の完了に準ずる状態」として扱われる場合があります。

具体的には、屋根またはその骨組みがあり、土地に定着した建造物として認められる状態まで工事が進んでいることが必要です。

一方、建売住宅や分譲マンションは「取得」に該当するため、工事途中の状態では足りません。

原則として、贈与を受けた翌年3月15日までに引き渡しを受ける必要があります。


年末近くに贈与を受けると、翌年3月15日までの期間が短くなります。

引き渡しや工事の遅延も想定し、無理のない資金計画を立てましょう。


住宅購入資金の贈与税を金額別にシミュレーション

ここでは、具体的な金額を使って、住宅取得等資金の非課税特例を利用した場合の計算方法を確認します。


一般住宅で500万円の援助を受けるケース

一般住宅を購入するため、親から500万円の贈与を受けたとします。

特例の要件をすべて満たしていれば、500万円全額を非課税にできます。

項目金額
親からの贈与500万円
住宅取得等資金の非課税500万円
特例適用後の課税対象0円

この500万円については贈与税がかかりません。ただし、特例を利用するための贈与税申告は必要です。

同じ年にほかの贈与を受けている場合は、その贈与について別途贈与税が発生する可能性があります。


省エネ等住宅で1,000万円の援助を受けるケース

省エネ等住宅を購入し、親から1,000万円の贈与を受けた場合、条件を満たせば1,000万円全額を非課税にできます。

ただし、省エネ等住宅であることを証明する住宅性能証明書などの提出が必要です。

契約前に、次の点を確認しておきましょう。

・証明書を誰が発行するか

・発行費用はいくらか

・申告期限までに受け取れるか

・取得する住宅が税制上の基準を満たしているか


省エネ等住宅で1,200万円の援助を受けるケース

省エネ等住宅の購入資金として、親から1,200万円の贈与を受けたとします。

暦年課税を利用し、その年にほかの贈与がない場合は、次のように計算できます。

項目金額
贈与額1,200万円
住宅取得等資金の非課税1,000万円
非課税特例適用後の残額200万円
暦年課税の基礎控除110万円
基礎控除後の課税価格90万円

受贈者が贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上であり、父母や祖父母などの直系尊属から贈与を受けた場合は、原則として特例贈与財産用の税率を使用します。

課税価格90万円には10%の税率が適用されるため、贈与税額は次のとおりです。

90万円×10%=9万円

同じ年に別の贈与を受けている場合は、その金額も含めて計算する必要があります。


父と母の両方から贈与を受けるケース

住宅取得等資金の非課税限度額は、贈与者ごとではなく、贈与を受けた人ごとに判定します。

一般住宅を購入する子に対し、父と母がそれぞれ500万円を贈与しても、合計1,000万円がすべて非課税になるわけではありません。

一般住宅の非課税限度額は、父母や祖父母からの贈与を合計して、受贈者1人につき最大500万円です。

省エネ等住宅の場合も、複数の親や祖父母から受け取った住宅取得資金を合計し、受贈者1人につき最大1,000万円までとなります。


贈与税非課税の特例を利用する手続き

住宅購入資金の援助を受けるときは、贈与を受ける前から、住宅の条件と申告書類を確認しておくことが大切です。


1.購入する住宅が対象になるか確認する

まず、購入予定の住宅について次の項目を確認します。

確認項目チェック内容
床面積登記簿上で40㎡以上240㎡以下か
中古住宅建築年月日や耐震基準を満たすか
住宅性能省エネ等住宅として証明できるか
所有者受贈者が所有権または共有持分を取得するか
引き渡し翌年3月15日までに間に合うか
入居期限までに居住できる見込みがあるか

「最大1,000万円まで非課税になると思っていたものの、証明書を取得できず、500万円までしか適用できなかった」というケースも考えられます。

物件の契約前に、住宅会社、不動産会社、税務署、税理士などへ確認しましょう。


2.贈与額・贈与日・住宅の名義を決める

次に、誰から誰へ、いつ、いくら贈与するのかを決めます。

あわせて、贈与を受ける人が、住宅のどの程度の持分を取得するかも確認してください。

たとえば、妻が自分の親から800万円の贈与を受けたにもかかわらず、住宅をすべて夫名義にすると、妻は住宅の所有権や共有持分を取得しないため、原則として特例を利用できません。


3.贈与契約書と振込記録を残す

贈与契約書は、特例を利用する際の必須書類ではありません。

ただし、贈与者、受贈者、金額、贈与日、資金の用途について、当事者が合意したことを示す証拠になります。

口頭だけで済ませず、次の内容を書面に残しておくとよいでしょう。

・贈与者と受贈者の氏名

・贈与する金額

・贈与日

・住宅取得等資金として贈与すること

・当事者の署名や押印


資金は現金で手渡しするよりも、親名義の口座から子名義の口座へ振り込み、通帳や振込明細を保存する方が、資金の流れを説明しやすくなります。


4.贈与資金を住宅代金に充てる

贈与された資金は、翌年3月15日までに住宅の新築・取得・増改築等の代金へ充てます。

受け取った資金を生活費や投資に使い、別の資金で住宅代金を支払うと、贈与資金を住宅取得に使ったことを説明しにくくなります。

贈与専用の口座を用意するなど、親からの入金と住宅代金の支払いを追える状態にしておきましょう。


5.翌年に贈与税の申告をする

特例を利用する人は、贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までに、贈与税申告書と必要書類を所轄税務署へ提出します。

2026年中に贈与を受けた場合は、原則として2027年2月1日から3月15日までが申告期間です。

非課税限度額以内で納付税額がない場合でも、申告を省略することはできません。


申告時に必要となる主な書類

必要書類は、住宅の種類や性能、申告方法によって異なりますが、一般的には次のような書類を準備します。

・贈与税申告書

・住宅取得等資金の非課税額を計算する書類

・戸籍謄本など、直系尊属との関係を確認できる書類

・売買契約書または工事請負契約書の写し

・合計所得金額を確認できる書類

・住宅性能証明書など

・耐震基準適合証明書など

・マイナンバーの本人確認書類


土地や建物の不動産番号を申告書に記載することなどにより、登記事項証明書の添付を省略できる場合があります。

必要書類は制度改正や住宅の種類によって変わるため、申告する年の国税庁のチェックシートを使って確認しましょう。


親から資金援助を受けるときの注意点

贈与税が0円でも申告が必要

住宅取得等資金の非課税特例は、条件を満たしただけで自動的に適用される制度ではありません。

非課税限度額以内であっても、申告期間内に贈与税申告書と必要書類を提出する必要があります。

「税金が発生しないから申告しなくてもよい」と考えないようにしましょう。


住宅ローンの返済資金には使えない

特例の対象になるのは、住宅の新築・取得・増改築等の対価へ充てる資金です。

すでに購入した住宅のローンを繰り上げ返済するため、後から親にお金を出してもらっても、その資金は原則として住宅取得等資金の非課税特例の対象になりません。

贈与は、売買代金や建築代金の支払いスケジュールに合わせて行う必要があります。


資金負担と登記持分を合わせる

夫婦で住宅を購入するときは、実際の資金負担割合と、登記上の持分割合を合わせることが重要です。

たとえば、夫が購入資金の3分の2、妻が3分の1を負担しているにもかかわらず、住宅の持分を2分の1ずつにすると、夫から妻へ財産の一部を贈与したと判断される可能性があります。

次の金額を整理したうえで、持分を決めましょう。

夫婦それぞれの自己資金

親や祖父母からの贈与額

夫婦それぞれが負担する住宅ローン

夫婦それぞれが負担する諸費用


土地だけを購入する場合は注意する

住宅の新築と一緒に取得する土地や、住宅の新築に先行して取得する土地の代金も、一定の条件を満たせば対象になります。

ただし、土地だけを購入し、期限までに対象となる住宅を新築しない場合は、原則として特例を利用できません。

また、土地の持分を取得していても、贈与を受けた人がその土地上の住宅を所有せず、住宅の共有持分も取得しない場合は対象外です。

土地代に贈与資金を使う場合は、住宅と土地の名義をあわせて確認しましょう。


住宅ローン控除の計算にも影響する

住宅取得等資金の非課税特例と住宅ローン控除は、要件を満たせば併用できます。

ただし、住宅ローン控除の計算では、住宅の取得対価から、非課税特例を適用した住宅取得等資金や一定の補助金を差し引きます。

住宅ローン控除の計算の基礎になる金額は、原則として次のうち低い方です。

・住宅ローンの年末残高

・住宅の取得対価から、非課税特例の適用額や補助金等を差し引いた金額


住宅の取得対価が3,000万円で、800万円について住宅取得等資金の非課税特例を利用した場合、調整後の取得対価は2,200万円です。

住宅ローンの年末残高が2,500万円あっても、取得対価側の上限は2,200万円になります。

非課税特例の適用額を差し引かずに住宅ローン控除を計算すると、控除額を過大に申告する可能性があるため注意しましょう。


非課税枠を超える資金援助の方法

親からの援助額が500万円または1,000万円を超える場合は、暦年課税や相続時精算課税、親からの借入れなども検討します。


暦年課税の基礎控除を使う

暦年課税では、1月1日から12月31日までの1年間に受けた贈与の合計額から、110万円を控除できます。

住宅取得等資金の非課税特例を適用した後の残額に、暦年課税の基礎控除を適用することも可能です。

ただし、110万円の基礎控除は、贈与者ごとではなく、贈与を受けた人ごとに年間で判定します。

父から110万円、母から110万円を受け取っても、合計220万円がすべて基礎控除の範囲内になるわけではありません。


相続時精算課税を利用する

一定の条件を満たす場合、住宅取得等資金の非課税特例と相続時精算課税を併用できます。

相続時精算課税には、2024年以後の贈与について年間110万円の基礎控除があり、さらに贈与者ごとに累積2,500万円の特別控除があります。

基礎控除と特別控除を適用した後も残額がある場合は、原則として20%の税率で贈与税を計算します。

通常、相続時精算課税の贈与者には、贈与年の1月1日時点で60歳以上という年齢要件があります。


住宅取得等資金について一定の要件を満たす場合は、贈与者が60歳未満でも、相続時精算課税を選択できる特例があります。

一度相続時精算課税を選択すると、その贈与者から将来受ける贈与について、暦年課税へ戻すことはできません。


また、相続時精算課税を適用した財産は、将来、贈与者が亡くなった際の相続税計算にも関係します。

贈与税が少なくなるという理由だけで決めず、将来の相続税まで含めて税理士に相談し、比較することが大切です。


住宅取得等資金の非課税特例によって非課税となった部分は、原則として、贈与者が亡くなった際の相続税の課税価格へ加算する必要がありません。

相続時精算課税を適用した部分とは、相続時の取り扱いが異なります。


親から借りる

資金を贈与ではなく、親からの借入れにする方法もあります。

返済能力や返済状況などから、実際の金銭貸借であると認められれば、借入金そのものは贈与になりません。

一方、次のような貸付けは、贈与と判断される可能性があります。

・返済期限が決まっていない

・返済実績がない

・「余裕ができたら返す」としている

・実質的に返済する意思がない

・著しく低い利率または無利息である


無利息の場合は、利息相当額が贈与として扱われることもあります。

借用書を作るだけでなく、返済期間や利率、毎月の返済額などを設定し、契約どおり銀行振込などで返済記録を残しましょう。


親と共有名義で購入する

親が負担した金額に応じて、親自身が住宅の持分を取得する方法もあります。

たとえば、住宅価格4,000万円のうち、親が1,000万円、子が3,000万円を負担し、親が4分の1、子が4分の3の持分を取得する形です。


この場合、親が自分の持分を購入しているのであれば、親から子への1,000万円の贈与にはなりません。

ただし、親との共有名義は、将来の相続、住宅の売却、住宅ローン、親の認知症対策などにも影響します。

税理士や司法書士、金融機関などを交えて検討しましょう。


マイホーム購入前に家族で相談したいこと

親からの資金援助は、住宅購入時の負担を軽減できる一方、家族間で認識の違いがあると、後のトラブルにつながる可能性があります。

少なくとも、次の点を話し合っておきましょう。

  • 誰から誰へ援助するのか

  • 援助額はいくらか

  • 贈与なのか貸付けなのか

  • 贈与日はいつにするか

  • 購入する住宅は特例の対象になるか

  • 住宅の名義と持分をどうするか

  • 贈与契約書と振込記録をどう残すか

  • 申告手続きを誰が行うか

  • 兄弟姉妹へどのように説明するか

  • 将来の相続でどのように扱うか

特に、複数の子どものうち1人だけに高額な援助をする場合は、将来の相続や遺産分割への影響も含めて話し合うことが大切です。


親からの住宅購入資金援助に関するよくある質問

Q.親から500万円をもらったら申告は必要ですか?

住宅取得等資金の非課税特例を利用して贈与税を0円にする場合は、申告が必要です。

一般住宅の非課税限度額である500万円以内でも、贈与を受けた翌年の申告期間内に、贈与税申告書と必要書類を提出してください。


Q.義理の親からの援助も対象になりますか?

配偶者の父母や祖父母は、自分にとっての直系尊属ではありません。

そのため、義父母から自分への贈与には、原則として住宅取得等資金の非課税特例を利用できません。

義父母の実子である配偶者が贈与を受け、その配偶者が資金負担に応じた住宅の持分を取得する方法などを検討します。

養子縁組をしている場合は、取り扱いが異なる可能性があります。


Q.中古マンションでも利用できますか?

中古マンションでも、床面積、建築年月日、耐震基準、所得、入居時期などの要件を満たせば利用できます。

床面積は、広告に記載される壁芯面積ではなく、原則として登記簿上の専有部分の面積で判定します。


Q.父と祖父からそれぞれ贈与を受けられますか?

父と祖父の両方から住宅取得資金の贈与を受けることは可能です。

ただし、非課税限度額は受贈者ごとの合計額で判定します。贈与者が2人になっても、限度額が2倍になるわけではありません。


Q.親が所有する住宅を贈与してもらった場合も対象ですか?

対象になりません。

住宅取得等資金の非課税特例は、住宅の新築・取得・増改築等の対価に充てるための「金銭」の贈与が対象です。

親が所有する住宅や土地そのものの贈与には、別途、贈与税の検討が必要です。


Q.住宅ローンの繰り上げ返済に使えますか?

原則として利用できません。

特例の対象になるのは、住宅の新築・取得・増改築等の対価へ充てる資金です。住宅を取得した後に、住宅ローンの返済資金として親から贈与を受けても、原則として対象外です。


Q.2026年中に贈与を受ければ間に合いますか?

現行制度では、2026年12月31日までに受けた贈与が対象です。

ただし、原則として2027年3月15日までに、贈与された資金の全額を住宅取得等に充て、住宅の取得または一定段階までの新築を行う必要があります。

建売住宅や分譲マンションの場合は、原則として2027年3月15日までに引き渡しを受けなければなりません。

入居と申告にも期限があるため、2026年末ぎりぎりの贈与は慎重に計画しましょう。


まとめ

親や祖父母からマイホームの購入・新築・増改築等に使う資金の援助を受ける場合、住宅取得等資金の非課税特例を利用すれば、一般住宅では最大500万円、省エネ等住宅では最大1,000万円まで贈与税が非課税になります。

ただし、非課税枠は毎年リセットされるわけではありません。2024年以後にすでに特例を利用した金額がある場合は、原則として非課税限度額から利用済み額を差し引く必要があります。

また、贈与を受ける人の年齢や所得だけでなく、住宅の床面積、性能、所有者、取得日、入居日などの条件を満たし、期限内に贈与税の申告をしなければなりません。


親から資金援助を受ける予定がある場合は、住宅の契約前、遅くとも贈与を受ける前に、住宅会社、不動産会社、所轄税務署または税理士へ確認しましょう。