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自宅を売却したときも税金がかかる?確定申告は必要?

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売却の流れ

2024.02.13

自宅を売却したときも税金がかかる?確定申告は必要?

2024.02.13

自宅を売却したときも税金がかかる?確定申告は必要?売買の窓口】

不動産売却には様々な経費が伴いますが、中でも税金は大きな割合を占める可能性があります。

自宅を売った際に発生する税金について事前に理解しておかないと、予期せぬ支出に直面することもあるでしょう。

また、自宅の売却代金からどれだけの税金が引かれるかについて、不安や疑問を持つ人は少なくありません。

今回は、自宅を売却した時にかかる税金の種類や税額の計算方法、確定申告についても解説させていただきます。


自宅を売却した時にかかる税金

不動産売却の際にかかる税金は大きく分けて、「売却手続きにかかる税金」と「売買で利益が発生した時にかかる税金」の2種類です。それぞれ、具体的に見ていきましょう。


売却の手続きにかかる税金

・印紙税

印紙税は、不動産取引やその他特定の書類に適用される税金で、これらの書類を「課税文書」と称します。

税金の納付は、書面に収入印紙を添付し、それに消印を施すことによって完了すると認識されます。

この税金の額は、文書に明記された取引額に基づいて定められます。

特に、2024年3月31日までの期間、不動産の売買契約や建築契約などには、減税措置が適用されるという特例が存在します。

納める金額の例は、以下の表の通りです。


契約金額本則税率軽減税率
100万円を超え500万円以下2,000円1,000円
500万円を超え1,000万円以下1万円5,000円
1,000万円を超え5,000万円以下2万円1万円
5,000円を超え1億円以下6万円3万円
1億円を超え5億円以下10万円6万円


・登録免許税

登録免許税は、不動産や会社などの登記を申請する際にかかる税金です。

ローンが残っている家を売る際には、ローンの完済と抵当権の抹消登記が必要です。

抵当権の抹消は、ローン完済後に債務者が自ら手続きをし、それには登録免許税が1,000円かかります。

この税金は、不動産ごとに課され、土地と建物は別々に計算されます。

不動産や会社の登記時に必要な登録免許税は、登記申請時に収入印紙を使って納付します。

不動産取引では、売主は抵当権抹消登記を、買主は所有権移転登記や抵当権設定登記を行い、それぞれ登録免許税を支払います。

登記にかかる費用は、通常司法書士の報酬や実費とともに請求され、売買契約の際には、売主と買主双方が関連する登記のために費用を負担します。


・消費税

消費税は、国内で事業者が事業活動として対価を得る取引に適用されます。

これには商品やサービスの提供、資産の譲渡が含まれますが、個人が行う売却には消費税が課されません。

ただし、不動産売却時に不動産会社へ支払う仲介手数料、司法書士や融資手続きの手数料など、事業者への支払いには消費税が適用されます。

特に、居住用でない不動産の売却は消費税の課税対象となり得るため注意が必要です。

不動産売却での仲介手数料には、売買価格に比例して消費税が加算され、その上限は売却価格が400万円を超える場合、「売買価格 × 3% + 6万円 + 消費税」として計算されます。


売買で利益が発生した時にかかる税金

不動産を売却し、利益が出た場合、その利益に対して3種類の税金がかかります。

これらの税金は、不動産や株式など特定の資産を売却した際に発生します。

 

1. 譲渡所得税 

取得した際と売却時の費用を差し引いた「譲渡所得」がプラスになった場合に課税されます。

税率は、所有期間によって異なります。

所有期間5年以下:短期譲渡所得 - 税率30%~39% 

所有期間5年超:長期譲渡所得 - 税率15%~20% 


2. 住民税 

譲渡所得に対して課税される地方税です。

税率は、市町村によって異なりますが、約10%です。 


3. 復興特別所得税 

東日本大震災からの復興に必要な財源を確保するために設けられた臨時措置です。

2037年まで課税されます。 


不動産を売却して利益が出た場合は、上記の3種類の税金を支払う必要があります。


譲渡所得の税率は所有期間で変わる

所得税は、給与所得や不動産所得などの所得金額を合計した総所得金額を算出してから税額を計算する総合課税が原則ですが、不動産の売却で生じる譲渡所得は、合算せずに個別に税額を計算する分離課税方式が取られます。

譲渡所得の税率

区分短期長期
期間5年以下5年超10年超所有軽減税率の特例
※ 買い換えた住宅への住宅ローン控除との併用は不可
居住用39.63%
(所得税30.63% 住民税 9%)
20.315%
(所得税15.315% 住民税 5%)
①課税譲渡所得6,000万円以下の部分14.21%
(所得税10.21%・住民税4%)

②課税譲渡所得6,000万円超の部分20.315%
(所得税15.315%・住民税5%)
上記以外39.63%
(所得税30.63% 住民税 9%)
20.315%
(所得税15.315% 住民税 5%)

参考:フリー会計

上記税率には、復興特別所得税として所得税の2.1%相当が上乗せされています。

復興特別所得税とは源泉所得税を徴収する際に一緒に徴収される税金で、東日本大震災から復興のための財源確保を目的としたものです。

復興特別所得税は、2013年1月1日から2037年12月31日までの間に生じた所得において所得税の2.1%相当が源泉徴収されます。


出典:国税庁「No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」


譲渡所得税の計算方法

1.譲渡所得を把握する

譲渡所得額の求め方

課税譲渡所得金額 = 収入金額 ー(取得費譲渡費用)ー 特別控除額

収入金額や取得費、譲渡費用、特別控除額に含まれるものをそれぞれ詳しく見ていきましょう。

出典:国税庁「No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」


収入金額とは売却した額のことです。

資産を買った人から受け取った現金や、現金の代わりに受け取った不動産や株式などの時価が該当します。


不動産の購入時にかかった費用を取得費といい、以下のものが含まれます

・購入代金や建築代金

・取得時に支払った仲介手数料

・契約書の印紙税

・登記費用(登録免許税、司法書士への報酬など)

・不動産取得税など

出典:国税庁「No.3252取得費となるもの」


譲渡費用とは物件を売るためにかかった費用のことで、次のような費用が含まれます

・売却時に支払った仲介手数料 

・契約時の印紙税 

・建物の取り壊し費用 

・売却時に支払った立ち退き料(借主がいた場合)

出典:国税庁「No.3255譲渡費用となるもの」


2.特別控除額を差し引く

譲渡所得を算出したのち、居住用財産の3,000万円特別控除や空き家の3,000万円特別控除などの特例が適用される場合は、その特別控除額を差し引いて課税対象になる譲渡所得を求めます。


3.税率をかける

課税譲渡所得が算出できたら、そこに税率をかければ譲渡所得にかかる税金が計算できます。

前述の通り所得税と住民税(譲渡所得税)の税率は、売却した物件の用途と所有期間で変わります。

ここで「所有期間10年超の物件に対する軽減税率の特例」が適用される場合は、その適用税率となります。


譲渡所得 = 譲渡収入金額 − 取得費用 − 譲渡費用


例えば、不動産売却で生じた譲渡所得が500万円あった場合、課税される税金は所有期間の違いによって以下のように変わります。


・所有期間5年以下(短期譲渡所得の場合) 

譲渡所得税=500万円 × 39.63% = 198万1,500円 (税金の内訳:所得税(復興所得税含む)153万1,500円 + 住民税45万円) 


・所有期間5年超(長期譲渡所得の場合) 

譲渡所得税=500万円 × 20.315% = 101万5,750円 (所得税(復興所得税含む)76万5,750円 + 住民税25万円)


ただし、上記のケースでは譲渡所得が3,000万円以下のため、後述する特例が適用されれば課税されません。

税金の計算方法は複雑な場合もあるため、詳細は国税庁のホームページ等で確認するか、税務署に相談することをおすすめします。


自宅を売却した時にかかる税金控除の特例

不動産売却で利益が出た場合、所得税や住民税など、様々な税金が課されます。

しかし、いくつかの特例を活用することで、合法的に税金を軽減することができます。

下記で紹介する特例はいずれの特例も売却した翌年に確定申告を行わなければ、適用されません。

売却益が発生する場合は、特例を確認し、利用する場合は必ず確定申告を行うようにしましょう。

会社員の場合でも、譲渡所得がある場合は年末調整とは別に申告を行う必要があります。


3000万円の特別控除

「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」とは、自宅を譲渡した際に、所有期間とは無関係に、譲渡所得から3,000万円の控除を受けられる制度です。

自宅を売却して3,000万円を超えるような譲渡所得が出ることはほとんどありません。 

そのため、この制度があることによって、ほとんどの人は自宅売却時には譲渡所得税は課税されません。


「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」を受けるためには次の6つの条件をクリアしなければなりません。 

1.自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること。 

なお、以前に住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の 12月31日までに売ること。

2.売った年の前年および前々年にこの特例またはマイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていないこと。

3.売った年、その前年および前々年にマイホームの買換えやマイホームの交換の特例の適用を受けていないこと。

4.売った家屋や敷地等について、収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと。 

5.災害によって滅失した家屋の場合は、その敷地を住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。 

6.売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと。 


現在居住していないマイホームでも、そのマイホームが3年以内に居住していた家を売却する場合には、この特例が適用される可能性があります。 

また、この3年間については特に要件がありませんので、例えばその売却予定の物件を3年間賃貸していた場合でも、3年後の12月31日までに売却が行われればこの特例を受けることができます。


また、この3,000万円の特別控除を使用した場合は、新たに住宅を購入して住宅ローンを利用した場合に住宅ローン控除を利用できなくなります。 

住宅ローン控除とは「住宅借入金等特別控除」のことで、一定の要件を満たすマイホームを、住宅ローンを利用して購入した場合、住宅ローンの年末残高に応じて所得税の控除が受けられる制度のことです。

住宅ローン控除が利用できれば、住宅を購入した後のローン返済といった経済的負担を軽減できます。 

売却後に自宅を購入する予定がある場合は、どちらの控除が得かを事前に計算して、どちらの適用を受けるか決めておきましょう。


所有期間による軽減税率

所有期間10年超の物件に対する軽減税率の特例があります。 

この特例は、自宅を売却する際に特定の条件を満たせば、長期にわたる所有の譲渡所得に対して通常よりも低い税率で計算することができる制度です。

具体的には、売却する不動産が自己の居住用であり、その年の1月1日時点で所有期間が10年以上である場合に適用されます。 

通常、長期譲渡所得に適用される税率は20.315%となっていますが、この特例を利用することで、譲渡所得が6,000万円以下の範囲においては税率が14.21%にまで下がります。

これにより、該当する売却益については、より少ない税金で済むことになります。

ただし、譲渡所得が6,000万円を超える部分に関しては、通常の長期譲渡所得税の税率が適用される点に注意が必要です。 

この制度は、長期間自宅を所有し続けた人がその家を売却する際に、税金の負担を軽減できるように設けられています。

所有していた自宅を売却することで生じる譲渡所得に対して、より低い税率で計算できるため、経済的な負担を少しでも軽くすることが可能になります。


出典:国税庁「No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例」


被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除

親が住んでいた実家を相続して売却した場合、一定の要件を満たせば、譲渡所得金額から3,000万円までを控除できます。 

これは、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」といって、一般的な「3,000万円控除」とは別の制度です。


【建物の利用要件】

この特例の対象となる不動産は相続の開始直前まで被相続人が住んでいた自宅であり、以下の要件をすべて満たす不動産であること。

(1)昭和56年5月31日以前に建築された建物であること

(2)区分所有された建物ではないこと

(3)相続開始直前に被相続人以外が住んでいなかった建物であること


【敷地の利用要件】

相続の開始の直前において被相続人居住用家屋の敷地として利用されてきた土地、もしくはその土地の権利


なお、「空き家特例」は期限が延長され、適用期限が令和9年(2027年)12月31日までとなりました。

出典:国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」


自宅を売却したら翌年に確定申告が必要

税金が発生する場合、確定申告の手続きが必須となります。 

確定申告とは、1年間(1月1日から12月31日まで)に得た収入とそれにかかる所得税を計算し、すでに支払った税金の過払いや不足分を調整することで最終的な税額を決定するプロセスです。 

また、家を売却する際に適用できる税制優遇措置を受けるためにも、この確定申告が不可欠です。

売却した不動産による収益やその他の所得を申告し、特例の条件を満たしていることを証明することで、税負担の軽減を図ることができます。

この手続きを通じて、税金の正確な額が算出され、必要に応じて追加で納税したり、過払い税金が戻されたりします。


まとめ

不動産を売却する際には、税金の知識を有していることが欠かせません。

まず最初に、予想される税金の種類、それがいつ発生するのか、そしてその金額はどれくらいになり得るのかを理解することが大切です。

さらに、利用可能な税制優遇措置や特例がどのようなものがあり、自分が所有する不動産にそれらが適用可能かどうかを把握することが重要です。

これらの点を踏まえ、具体的な計画を立てることからスタートしましょう。


不動産の売買でお困りの方は、売買の窓口までお気軽にご相談ください。