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土地の分筆とは?一部売却や相続で知っておきたい基礎知識と手続きの流れ

売却

相続

2025.04.15

土地の分筆とは?一部売却や相続で知っておきたい基礎知識と手続きの流れ

2025.04.15

土地の分筆とは?一部売却や相続で知っておきたい基礎知識と手続きの流れ売買の窓口】

「土地が広すぎて持て余している」

「相続した土地を兄弟で分けたい」

「土地の一部だけ売却したい」── 

そんなときに必要となるのが土地の「分筆」という手続きです。 

聞き慣れない言葉に戸惑う方も多いかもしれませんが、分筆を正しく理解すれば、土地の有効活用や相続トラブルの防止にも繋がります。

この記事では、土地の分筆とは何かから、一部売却や相続での活用方法、具体的な手続きや注意点まで、初心者でもわかりやすく解説していきます。


土地の分筆とは?

「分筆(ぶんぴつ)」とは、ひとつの土地を複数に分けて、それぞれ独立した土地として登記することです。

たとえば、自分の土地の一部だけを売却したい場合、まずその部分を登記上でも独立させる必要があります。

これが「分筆」です。

逆に、隣接する複数の土地を一つにまとめる場合は「合筆(がっぴつ)」と呼ばれます。


なぜ土地を分筆するのか?

相続時の土地分割

土地を複数の相続人で受け継ぐ際、登記上で共有名義にしてしまうと、後々の管理や処分に多くの課題が発生します。

たとえば、共有名義のまま土地を売却したり活用したりするには、全員の同意が必要になります。

相続人の一部が反対したり、連絡が取れなくなったりすると、その土地は事実上、活用できなくなるリスクがあるのです。

そこで有効なのが「分筆」です。

土地をあらかじめ分筆しておくことで、それぞれの相続人が自分の土地を単独所有することができます。

これにより、各自が自由に売却や活用の判断を下せるようになり、将来的なトラブルの回避につながります。

また、遺産分割協議でも公平な配分がしやすくなるというメリットもあります。


土地の一部売却

土地を全部ではなく一部だけ売却したいというケースは意外と多く見られます。

たとえば、自宅の敷地の一部が余っているため、そこだけを切り離して売りたい、あるいは、遊休地の一部分を他人に譲渡したいというような場合です。

不動産登記においては、登記簿上で独立した地番がなければ土地の一部だけを売却することはできません。

そのため、まず対象部分を分筆して、個別の地番を持った土地として登記する必要があります。

これにより、売却対象の土地を明確にし、残りの土地は引き続き自分が所有・活用することが可能になります。

分筆をしておけば、将来的にも他の一部を売却することが可能となり、資産としての柔軟性が高まります。


土地利用目的の変更

所有する土地が広い場合や立地が良い場合には、住宅用地として分譲したり、商業施設や駐車場などに活用することが考えられます。

こうした開発や土地活用の前提として必要になるのが、用途に応じた「分筆」です。

たとえば、1,000㎡の土地を5棟の戸建て住宅として販売する場合、分筆して各区画を独立させなければ個別販売はできません。

また、一部だけをコインパーキングにする場合も、その部分を分筆することで、収益管理や契約関係を明確にすることができます。

分筆によって、土地の一部を賃貸に出しつつ、他の部分を自宅用に残すといった複合的な活用も可能になります。


土地を分筆するメリットと注意点

メリット

1. 所有権の明確化

土地を分筆することで、登記簿上においてそれぞれの区画が独立した不動産として登録されます。

これにより、各区画に誰がどの土地を所有しているのかが明確になります。

特に相続の場合、共有状態では全員の合意が必要となるため、売却や利用に制限が生じることがありますが、分筆によって各相続人が単独で所有すれば、自由に管理・売却・活用することが可能になります。 

また、第三者への譲渡や担保設定も個別に行えるようになるため、資産運用の選択肢も広がります。


2. 柔軟な土地活用

分筆によって土地を複数の小区画に分けることで、それぞれの区画を異なる目的で活用することが可能になります。

一部を自宅、もう一部を月極駐車場や貸地として活用するなど、多様な運用が現実的になります。

さらに、広大な土地を住宅地として開発し、戸建て用地として販売する場合なども、分筆を行うことで個別の販売が可能になります。


注意点

1. 土地形状の変化

分筆の方法によっては、土地が不整形な形状になってしまう可能性があります。

L字型や三角形のような形状になると、建物の建築や駐車スペースの確保が難しくなり、土地の利用価値が下がってしまうこともあります。 

また、不整形地は資産価値の評価においても不利になることがあり、売却時の価格が希望より低くなる可能性があるため、分筆の計画段階から専門家の意見を取り入れることが重要です。


2. 分筆できない場合がある

分筆はどの土地でも自由にできるわけではありません。

以下のような制約がある場合には、分筆ができなかったり、条件を満たさないと登記が認められないことがあります。 


・隣地との境界が未確定

土地家屋調査士による測量と、隣地所有者との立ち会い・境界確認が必要です。

トラブルがあると手続きが滞ります。

・最低敷地面積の規制

都市計画区域などでは、条例によって一定の面積未満の土地は建築不可となることがあります。

分筆後の区画がこの面積基準を満たしていない場合、建物を建てることができなくなる恐れがあります。


土地分筆の手続きの流れ

1. 土地家屋調査士に相談・依頼する

まず最初に行うのは、土地の専門家である「土地家屋調査士」への相談です。

分筆には専門的な知識や測量の技術が必要なため、自分で手続きするのは現実的ではありません

信頼できる調査士を見つけて、状況を説明し、正式に依頼しましょう。 

2. 現地で測量し、土地の正確な広さや形を確認 

依頼を受けた土地家屋調査士が、実際に土地に足を運んで測量作業を行います。

土地の面積や境界線を正確に測ることで、将来のトラブルを防ぐことができます。 

3. 隣の土地の所有者と一緒に、境界を確認する

次に、隣接する土地の持ち主(隣地所有者)と立ち会って、境界線を確認します。

これはとても大切な作業で、後から「境界がおかしい」といった争いを防ぐために行われます。

お互いの同意が得られたら、署名などの手続きも行います。 

4. 分筆後の区画図を作る

測量と境界の確認が終わったら、分筆後の土地の図面(分筆図)を作成します。

この図面に基づいて、それぞれの土地がどのように分かれるのかが明確になります。

5. 法務局に分筆登記を申請する

最後に、作成した図面をもとに法務局に分筆の登記申請を行います。

これにより、登記簿上で土地が分かれて、それぞれ別の地番を持つ独立した土地として正式に登録されます。 


分筆の手続きは、専門的で細かい工程が多いため、最初から最後まで土地家屋調査士のようなプロに任せるのが一般的です。

自分ひとりで進めようとすると、時間や労力がかかるだけでなく、ミスが発生するリスクもあるため、専門家のサポートを受けることをおすすめします。


土地分筆にかかる費用と期間

【費用の目安】

50万円〜100万円程度

土地を分筆するには、測量や登記、書類作成などさまざまな工程があり、それに伴って費用も発生します。

おおよその相場は50万円から100万円程度です。 

この費用の内訳は以下のようになります。

・測量費用 : 土地家屋調査士による現地測量。

・登記費用 : 法務局での登記手続きにかかる費用(登録免許税など)。 

・手数料や報酬 : 調査士や代理人に支払う報酬、書類作成費用など。


【期間の目安】

1ヶ月〜3ヶ月

分筆の手続きにかかる期間は、通常1ヶ月から3ヶ月程度が目安です。

ただし、状況によってはそれ以上かかることもあります。 

例えば、隣人との立ち会い予定調整がうまくいかない場合や、境界が不明確な場合、過去の資料が不十分な場合は、測量作業に時間を要することがあります。 


土地分筆に必要な書類と申請先

【必要な書類と申請先】

・登記申請書 

・公図や登記簿謄本 

・測量図(地積測量図) 

・委任状(代理申請の場合)

・境界確認書(場合によって必要)


申請は法務局で行います。

これらの書類を自分でそろえるのは大変ですが、土地家屋調査士に依頼すれば一括で準備してもらえることが多く安心です。


よくある質問(FAQ)

Q1. 分筆しなくても土地の一部を売ることはできますか?

A. 原則としてできません。

土地を一部だけ売却したい場合でも、その部分が登記簿上で独立した地番を持っていなければ売買はできません。不動産取引は登記を前提に行われるため、売却部分を分筆して正式に独立した土地として登記することが必要です。

なお、共有名義にすることで一部の所有権を譲渡することは可能ですが、後のトラブルや制約が多いため、基本的には分筆をして売却するのが安全です。


Q2. 隣の土地との境界があいまいなのですが、どうすればいいですか?

A. 境界を確定するために、測量と立会いが必要です。

境界が不明瞭な場合は、土地家屋調査士が現地を測量し、隣地の所有者と一緒に「境界立会い」を行う必要があります。

お互いの合意のもとで境界線を確認し、確認書を作成することで、将来的なトラブルを防ぐことができます。

この作業は分筆手続きにおいて非常に重要な工程の一つです。


Q3. 市街化調整区域の土地でも分筆はできますか?

A. 条件付きで可能な場合もありますが、制限があるため要注意です。

市街化調整区域は、原則として新たな建物の建築や開発を制限するエリアです。

そのため、たとえ分筆が物理的に可能でも、自治体の条例や規制によって分筆が許可されないケースがあります。

分筆を検討している土地が市街化調整区域内にある場合は、事前に自治体の都市計画課や、経験豊富な土地家屋調査士に相談しておくと安心です。


まとめ

土地の分筆は、相続や一部売却、土地活用など、さまざまな場面で必要となる大切な手続きです。

分筆を適切に行うことで、所有権が明確になり、将来的なトラブルを未然に防ぐことができます。

また、資産としての土地をより柔軟に管理・活用できるようになるのも大きなメリットです。

ただし、分筆には測量や登記など専門的な工程が含まれ、法的な制約や注意点も存在します。

そのため、早い段階で土地家屋調査士などの専門家に相談し、状況に応じた最適な対応を検討することが大切です。

将来のためにも、しっかりと計画を立てて、安心・確実に分筆手続きを進めていきましょう。



不動産のご購入やご売却に関するご相談、ご不安な点がございましたら、どうぞお気軽に売買の窓口までご連絡ください。