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自宅が「既存不適格」と判定されたら?違法建築との違いと売却時の注意点

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2024.08.06

自宅が「既存不適格」と判定されたら?違法建築との違いと売却時の注意点

2024.08.06

自宅が「既存不適格」と判定されたら?違法建築との違いと売却時の注意点売買の窓口】

不動産を所有していると、時折「既存不適格」という言葉を耳にすることがあります。

これは、物件が現在の建築基準法に適合していない状態を指しますが、違法建築とは異なる重要な意味を持ちます。


本記事では、既存不適格建築物とは何か、その特徴や違法建築との違い、そして売却時に注意すべきポイントについて詳しく解説します。


既存不適格建築物とは

既存不適格建築物とは、建築された時点では法律に則って適法であったものの、その後の法改正により現行の法律に適合しなくなった建物を指します。

具体的には、建築基準法の施行や改正が行われた後、その新しい基準に適合しない建物がこれに該当します。

これらの建物は、法律が変更された時点で、過去の基準に基づいて建てられたため、現在の法律の適用からは外れることが多いのです。


既存不適格建築物の例としては、都市計画の変更や建築基準法の改正によって、建ぺい率や容積率、隣地間距離などの規制が変わったことにより、現在の基準に合わなくなった物件が挙げられます。

それでは、既存不適格建築物の具体的な例を見ていきましょう。


用途基準を満たしていない

用途地域は、建物の用途や規模を規制することで住環境を整える目的で設定される地域です。

これは都市計画法に基づいており、土地の所有者が任意に建物を建築できるわけではなく、その地域で許可される建物の種類や大きさが厳しく規制されています。


用途地域には住宅系、商業系、工業系など13のカテゴリがあり、各カテゴリで許可される建物の種類が異なります。

例えば、「工業専用地域」では、住宅の建築が認められていないため、この区域で住宅を建てることはできません。

もし既に建築された住宅が後に用途地域が「工業専用地域」に変更された場合、その住宅は現在の法律に適合しない既存不適格建築物として扱われます。


建ぺい率をオーバーしている

都市計画区域内では、敷地面積に対する建物の延べ床面積の割合(容積率)や建築面積の割合(建ぺい率)が厳密に定められており、これらの割合を超える建築は許可されません。

建ぺい率は、敷地面積に対する建築面積の比率を示し、用途地域ごとに異なる規制が設けられています。


例えば、300平方メートルの敷地において、もともと建ぺい率が80%で設定されていた場合、許可される建築面積は240平方メートルです。

しかし、法改正により建ぺい率が60%に引き下げられた場合、許可される建築面積は180平方メートルとなり、これにより元々の設計より60平方メートル超過することになります。

この超過分によって、建物は既存不適格建築物として扱われるようになり、新たな建築基準に合わせた建て替えや改修が必要となることがあります。


接道義務を満たしていない

建築基準法においては、住宅を建築するための敷地は、法律で定められた幅員4メートル以上の道路に対して最低2メートル以上接していなければならないという接道義務があります(建築基準法第43条)。

この規定により、敷地が指定された道路に十分な面積で接していない場合、その建物は道路制限に違反しており、不適格建築物と見なされます。


建築基準法は過去に何度も改正されており、建築当時は適法であった土地でも、法改正によって現行の接道義務を満たさなくなることがあります。

その結果、一度建てられた建物が再建築不可能な既存不適格建築物となる場合があります。


高さがオーバーしている

建物の高さが規定の基準を超えると、高さ制限違反となり、その建物は不適格建築物とされます。

もしリフォームや増築をして住宅を市場に出すことを検討している場合は、事前に高さ制限を確認し、違反がないことを確かめることが重要です。


隣家との距離が近い

建物が隣地との距離が不十分な場合、その物件は不適格建築物とみなされることがあります。

具体的に、民法第234条には建物を建てる際には境界線から少なくとも50センチメートル以上離れて建築する必要があります。

この規定に違反して隣地との距離が非常に近い建物は、売却が困難になる可能性が高いのです。


違法建築との違い

違法建築と既存不適格建築物は、法的な位置づけが異なります。

まずは、2つの違いを理解しましょう。


・違法建築

違法建築は、建築された時点で現行の建築基準法やその他の関連法規に違反して建てられた建物です。

この違反には、許可されていない場所での建築、許可された建ぺい率や容積率を超えての建築、必要な建築許可を取得せずに建築する行為などが含まれます。

違法建築は法的に認められていないため、発覚した場合には撤去や改修命令が出されることが一般的です。 


・既存不適格建築物

既存不適格建築物は、建築された時点では法律に適合していたが、後の法改正によって現行法に適合しなくなった建物です。

これには、用途地域の変更、建ぺい率や容積率の変更、その他の規制強化が原因で、元々合法的だった建物が現行の法律に適合しなくなるケースが含まれます。

既存不適格建築物は、法改正前に合法的に建てられたため、基本的にはそのまま利用することが許可されていますが、大規模な改修や建て替えを行う場合は、新しい法律の基準を満たす必要があります。 


要するに、違法建築は初めから法に違反して建てられたものであり、既存不適格建築物は法改正によって後から適合しなくなったものという大きな違いがあります。


既存不適格建築物の売却が難しい3つの理由

既存不適格物件の売却が難しいと言われる理由を3つご紹介します。


1.建物自体の老朽化

既存不適格建築物は、建築された時点での法律には適合していましたが、時間が経過するにつれて建物の老朽化が進むことが多いです。

老朽化した建物は、メンテナンスコストが高くなり、安全性や居住性が低下するため、買い手を見つけるのが難しくなります。


2.建て替えや増改築に制限ある

既存不適格建築物を購入する際、将来の建て替えや増改築において制限が生じることがあります。

既存不適格建築物は、現行の法令に合わないため、建て替えが許可されないケースや、許可されたとしても元の床面積よりも小さくなることがあるのです。

上記の理由により、物件の活用範囲が限定され、魅力が減少する可能性が高いのです。


既存不適格であることは、すぐに是正する必要はないものの、将来的な改築や建て替えを行う場合には、現行法に適合させる必要があります。

しかし、これが簡単でない場合もあります。

特に、容積率の制限や日影規制を超えている場合は、改築や建て替えに際して建物のサイズや高さを縮小する必要があるため、将来の売却価値にも影響を与えることがあります。

購入前には、再建築や改築の際の規制内容を確認することが重要です。


3.資産価値が低い傾向にある

既存不適格建築物は、法的規制の変更によって合法性が失われたため、市場での資産価値が低く見積もられる傾向にあります。

これは、築年数が古いことや建て替えが制限されることから担保価値が低くなるため、結果として希望する金額の融資が受けられなかったり、住宅ローンが組めないこともあります。


以上の理由から、既存不適格建築物の売却は一般的な不動産取引に比べて困難な場合が多いと言えます。


既存不適格建築物を売却する際の注意点

既存不適格建築物を売却する際には、いくつかの重要な注意点があります。


・事前に買主に告知しておく

既存不適格建築物を売却する際には、販売市場に出す段階でその性質を明確に表記することが望ましいと言えます。

既存不適格建築物であることを表記することで、購入希望者が物件の状態を事前に理解でき、契約締結後に既存不適格であることが判明した場合の契約不適合責任の問題を避けることができます。

契約不適合責任では、物件が契約内容に適合しない場合、買主は損害賠償請求や契約解除などを行う権利があります。


売却過程では、買主に対して不適合な点を明確に伝える必要があり、事実を隠して早く、または高く売ることは避けるべきです。

欠陥や不適合箇所を隠して売却すると、後にトラブルの原因となることがあります。

不安がある場合は、不動産会社の担当者と密接に連携を取り、適切な売却戦略を練ることが重要です。


・売却価格が低くなる可能性がある

既存不適格建築物は、市場での評価が低いため、通常の物件に比べて売却価格が低く設定されることが一般的です。

この点を事前に理解し、価格設定に反映させる必要があります。


・住宅ローンが通らない可能性が高い

既存不適格建築物は、金融機関からの住宅ローンの承認を得にくいことが多いです。

これは、担保価値が低いと評価されるためです。

そのため、買主が現金購入をするか、特別な融資条件を探す必要があるかもしれません。 


これらの点を踏まえ、既存不適格建築物の売却は慎重に進める必要があります。


既存不適格物件を高く売却するポイント

既存不適格物件を高く売却するためのポイントを解説します。


買取業者へ依頼

専門の買取業者に依頼することで、既存不適格物件の売却が迅速かつスムーズに進む可能性があります。

買取業者は物件をそのままの状態で購入し、既存不適格の問題を理解した上で適切な価格を提示するため、一般の市場よりも効率的に売却できます。


特に土地開発を行う不動産会社は、これらの物件に対する魅力を感じることが多く、面倒な売却手続きや内見の必要がなく、短期間での買取が期待できます。

そのため、売りにくい既存不適格物件の場合、専門の買取業者への相談がおすすめです。


更地にして売却

既存不適格物件の主なデメリットは、建て替えやリフォームに法的な制限があることです。

法律に違反する建物を解体し、更地にすることで、土地だけを売却する選択肢が可能になります。


ただし、日本では空き地の固定資産税が建物がある土地より高くなることがあり、維持費が増加するため注意が必要です。

そのため、解体と売却を同時に進めることで、長期間にわたる負担を軽減できます。


更地にすることによって建物に関連するリスクをなくし、土地の価値を最大限に活かし、多くの用途に適した状態で広範な買い手を引き寄せることができます。


既存不適格となっている原因なくす

例えば、用途地域の変更や建ぺい率、容積率の問題が原因で既存不適格となっている場合、この要因を解消することが可能であれば、物件の法的な制約を取り除き、市場価値を高めることができます。


しかし、既存不適格物件の要因をなくす方法は、複雑かつコストがかかる可能性があるため、実行前に詳細な検討が必要です。


実績のある不動産会社による売却

既存不適格建築物の売却は一般の物件に比べて困難なことが多いため、豊富な実績を持つ不動産会社に依頼することをおすすめします。

経験豊かで信頼できる不動産会社は、住宅ローンの審査から売却戦略の策定まで、スムーズに対応してくれる可能性が高く、市場での適正価格での売却や適切な買主の選定が期待できます。

既存不適格物件の売却を検討している場合は、実績のある会社を選びましょう。


不動産売買に関するご相談やお困り事があれば、いつでも売買の窓口までお気軽にお問い合わせください。