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ZEH(ゼッチ)完全ガイド!SDGsと住宅の省エネ対策とは?
近年、環境問題への意識が高まり、持続可能な社会の実現に向けた取り組みが求められています。
その中でも住宅のエネルギー効率化は重要なテーマの一つです。
そこで注目されているのが「ZEH(ゼロエネルギーハウス)」です。
ZEHは、エネルギー消費を抑え、再生可能エネルギーを活用することで、年間の一次エネルギー消費量を正味ゼロにする住宅のことを指します。
本記事ではZEHの基本的な概念から、持続可能な開発目標(SDGs)との関係、ZEH住宅に必要な要素や設備、さらにそのメリット・デメリットまで、解説します。
さらに、ZEH住宅を建設・購入する際に活用できる補助金や支援制度についても詳しく紹介します。
ZEHとは?
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは、使用するエネルギーと太陽光発電などで創るエネルギーの収支をゼロ以下にする家のことを指します。
家庭で消費するエネルギー量を年間で実質的にゼロにするため、エネルギーの使用を大幅に削減する必要があります。
ただし、暑さや寒さを我慢するわけではなく、家全体の断熱性や設備の効率化を高めることで、夏は涼しく冬は暖かい快適な室内環境を保ちながら省エネルギーを実現します。
これは、日本が第一次エネルギーの約9割を輸入に頼っている低エネルギー自給率や、自然災害への備えとして国内エネルギー供給を強化するため、政府が推進する政策の一環です。
SDGsとZEHの関係
SDGsとは?
SDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)は、2015年に国連が採択した全世界共通の目標です。
2030年までに達成すべき17の目標と169のターゲットから成り、持続可能で平和な社会を実現するための具体的な行動指針となっています。
SDGsは、環境、経済、社会の三つの側面から成り立ち、それぞれの目標が相互に関連し合いながら、持続可能な発展を目指します。
SDGsの目標とZEHの関連性
ZEH(ゼロエネルギー住宅)は、SDGsのいくつかの目標と直接的に関連しています。
目標7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに
持続可能で近代的なエネルギーへのアクセスを確保することを目指しています。
ZEHはエネルギー効率の向上と再生可能エネルギーの利用を促進し、エネルギーの消費を抑えることで、この目標に貢献します。
目標11:住み続けられるまちづくりを
持続可能な都市や住環境を提供することを目指します。
ZEHはエネルギー効率の高い住宅を提供することで、環境に優しい住環境を実現し、持続可能なコミュニティの形成に寄与します。
目標13:気候変動に具体的な対策を
気候変動に対する緩和策と適応策を実施することを目指しています。
ZEHは、エネルギー消費の削減と再生可能エネルギーの利用を通じて、温室効果ガスの排出を減少させ、気候変動対策に寄与します。
ZEHがSDGsに貢献する具体例
エネルギー消費の削減 ZEHは高効率の断熱材やエネルギー管理システムを採用することで、家庭内のエネルギー消費を大幅に削減します。
これにより、化石燃料の使用を減少させ、温室効果ガスの排出を抑制します。
例えば、太陽光発電システムや蓄電システムを導入することで、家庭で消費するエネルギーを自給自足し、外部からの電力供給への依存を減らします。
また、ZEHは快適で健康的な室内環境を提供するために設計されています。
高性能な断熱材や空調システムにより、季節に関わらず快適な室内温度を維持し、健康リスクを低減します。
ZEHの普及は、持続可能な住宅地の形成が可能となります。
エネルギー効率の高い住宅が集まることで、地域全体のエネルギー消費が抑えられ、持続可能なコミュニティの実現に繋がります。
これらの具体例を通じて、ZEHはSDGsの目標達成に大きく貢献することができます。
住宅選びや設計の際には、これらの観点を考慮することが重要です。
ZEH住宅に必要な3つの要素
ZEH住宅は、以下の3つの要素で成り立ちます。
1. 省エネ(エネルギーの効率的な使用)
省エネを実現するためには、家庭内での電力使用状況や太陽光発電の発電量を管理する専用システム「HEMS(Home Energy Management System)」が欠かせません。
HEMSはエネルギーの使用状況をリアルタイムで把握し、効率的なエネルギー管理を可能にします。
さらに、LED照明、高効率給湯システム、省電力で稼働する冷暖房や換気システムなどを導入することで、無駄な電力消費を抑え、家庭全体のエネルギー使用量を削減します。
2. 断熱(エネルギーの無駄を防ぐ)
断熱性能を高めることはZEH住宅の重要なポイントです。
高性能な窓や高断熱材を使用することで、建物全体のエネルギー効率が向上します。
断熱効果が高いと、外部の温度変化に左右されにくくなり、冷暖房に使うエネルギーが削減されます。
その結果、夏は涼しく冬は暖かい快適な住環境が保たれます。
3. 創エネ(エネルギーの自給自足)
ZEH住宅では、消費するエネルギーよりも多くのエネルギーを生み出すことが求められます。
これを実現するために、太陽光発電システムなどのエネルギー生成設備を設置します。
太陽光発電は、家庭で使用する電力を自ら生み出すことができるため、電力会社から購入するエネルギーの量を大幅に減らすことができます。
このように、ZEH住宅は省エネ、断熱、創エネの3つの要素を組み合わせて、エネルギー収支をゼロ以下に抑える持続可能な住まいを実現します。
ZEH基準を満たすための必要な設備
ZEH(ゼロエネルギーハウス)を実現するためには、エネルギー効率の高い設備やシステムの導入が不可欠です。
以下に、ZEH基準を満たすために必要な主要な設備を紹介します。
①断熱材・断熱窓
ZEHの基本は、住宅のエネルギー消費を最小限に抑えることです。
そのためには、高い断熱性能を持つ建材が必要です。
断熱材は住宅全体の断熱性能を向上させ、冬は暖かく夏は涼しい快適な室内環境を維持します。
断熱材には、グラスウールや発泡ウレタンなどの高性能素材が使用されます。
断熱窓は熱の出入りを防ぐため、複層ガラスやトリプルガラスを使用した高断熱窓を採用します。
これにより、冷暖房効率が向上し、エネルギー消費が削減されます。
②高効率照明
全体的なエネルギー消費を削減するために、照明設備も高効率なものを採用します。
LED照明は従来の照明に比べて消費電力が少なく、寿命も長いLED照明を使用します。
これにより、家庭内の電力消費を大幅に削減できます。
③HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)
家庭内のエネルギー使用状況をリアルタイムで把握し、効率的なエネルギー管理を行うシステムです。
HEMSは各種設備のエネルギー使用量をモニタリングし、効率的な運用をサポートします。
これにより、エネルギー消費を最適化し、無駄なエネルギー使用を防ぎます。
④太陽光発電システム
再生可能エネルギーを積極的に利用するための設備です。
太陽光発電システムは住宅の屋根に太陽光パネルを設置し、日中の電力を自家発電します。
発電した電力は家庭内で使用するほか、余剰電力は蓄電システムに貯めたり、電力会社に売電することも可能です。
⑤高効率給湯設備
給湯システムもエネルギー消費の大きな部分を占めるため、高効率な設備が求められます。
空気の熱を利用してお湯を沸かすエコキュートや、燃料電池を利用するエネファームなどの高効率給湯器を導入することで、エネルギー消費を大幅に削減できます。
⑥蓄電システム
太陽光発電システムと組み合わせて使用することで、エネルギーの自給自足を目指します。
蓄電システムとは、昼間に発電した電力を蓄電し、夜間や天候の悪い日に使用するためのバッテリーシステムです。
これにより、安定した電力供給が可能となり、電力コストの削減にも寄与します。
これらの設備を適切に組み合わせることで、ZEH基準を満たし、エネルギー消費を抑えつつ快適な住環境を実現することが可能です。
住宅を選ぶ際やリノベーションを検討する際には、これらの設備の導入を検討してみてください。
ZEH住宅の4つのメリット
1. 光熱費の削減
ZEH住宅では、省エネシステムの導入、高性能な断熱材の使用、太陽光発電による自家発電により、光熱費が大幅に削減されます。
無駄な電力を使わないようにすることで、家庭のエネルギーコストが減ります。
また、太陽光発電で余った電力を電力会社に売電することも可能で、その収益を得ることができます。
2. 災害時の非常電力確保
蓄電池を設置することで、太陽光発電で生み出した電力を蓄えておくことができます。
これにより、停電や自然災害時にも非常用の電力として使用でき、安心です。
また、蓄電池は電気自動車の充電にも利用できるため、多用途に役立ちます。
3. 高い資産価値
ZEH住宅は、省エネ性能が高く評価されるため、資産価値が上がる可能性があります。
一般社団法人「住宅性能評価・表示協会」の「BELS」認証制度においても高評価を得られるため、将来売却する際に高値で売れる可能性が高いです。
省エネに優れた住宅は、購入者にとっても魅力的な選択肢となります。
4. ヒートショックのリスク軽減
ZEH住宅は、断熱性能が高いため、夏は涼しく冬は暖かい快適な環境が整っています。
特に冬場には、部屋同士の温度差が小さくなるため、急激な温度変化によるヒートショック(脳卒中や心筋梗塞などの健康リスク)を防ぐことができます。
ZEH住宅は、住む人の健康を守り、快適な生活が送れるようになります。
これらのメリットにより、ZEH住宅は経済的な利点だけでなく、安全性や快適性、将来の資産価値向上といった多くの利点を提供します。
ZEH住宅の2つのデメリット
1. 天候に左右される発電量
太陽光発電は、天候に大きく影響を受けます。曇りや雨の日、日照時間が短い冬の季節などでは、発電量が減少するため、常に安定した電力供給が得られるわけではありません。
また、太陽光発電で余った電力を電力会社に売ることはできますが、近年の売電価格は減少傾向にあり、以前のように多くの収益を得るのは難しくなっています。
2. 設備投資とメンテナンス費用
ZEH住宅には、太陽光発電システムをはじめとするさまざまな省エネ機器が必要です。
これらの設備を導入するためには、初期投資費用がかかります。
また、これらの機器を長期間にわたって効果的に利用するためには、定期的なメンテナンスが必要であり、その費用も考慮する必要があります。
とはいえ、長期的な視点で見ると、省エネ機器による光熱費の削減や、ZEH住宅の高い資産価値を考慮すれば、これらのコストは将来的に回収できる可能性があります。
光熱費の節約と資産価値の向上を考えれば、初期投資とメンテナンス費用は将来の利益につながる投資と言えます。
これらのデメリットを理解し、総合的に判断することが重要です。
ZEH住宅には、多くのメリットがある一方で、これらのコストや天候の影響といったデメリットも考慮して選択する必要があります。
ZEH住宅の補助金と支援制度
ZEHの普及を促進するために、さまざまな補助金や支援制度が用意されています。
これらの制度を活用することで、ZEH住宅の導入コストを軽減しやすくなります。
・新築住宅を建てる人
・新築建売住宅を購入する人
住宅の主な要件
・自らが住むための住宅であること
・戸建て専用の住宅であること。
・ZEHビルダーまたはZEHプランナーによって設計・建築・販売された住宅であること
・ZEH認定を受けた工務店やハウスメーカーが設計、建築、または販売するZEH住宅であること。
ZEHビルダー・ZEHプランナーとは?
・ZEHビルダー(建築者):ZEH住宅を建設するために経済産業省から認定を受けた工務店やハウスメーカー。 ・ZEHプランナー(設計者):ZEH住宅を設計するために経済産業省から認定を受けた設計事務所や建築家。
以下に、代表的な補助金と支援制度を紹介します。
1.ZEH支援事業(ZEH)
補助金額: 1戸あたり定額55万円
追加補助金額:
蓄電システム: 2万円/kWh、補助対象経費の1/3もしくは20万円のいずれか低い額
CLT(直交集成板): 1戸あたり定額90万円
地中熱ヒートポンプシステム: 1戸あたり定額90万円
PVTシステム: 1戸あたり65~90万円
液体集熱式太陽熱利用システム: 1戸あたり12万円または15万円
2.ZEH支援事業(ZEH+)
補助金額: 1戸あたり定額100万円
追加補助金額:
蓄電システム: 2万円/kWh、補助対象経費の1/3もしくは20万円のいずれか低い額
CLT(直交集成板): 1戸あたり定額90万円
地中熱ヒートポンプシステム: 1戸あたり定額90万円
PVTシステム: 1戸あたり65~90万円
液体集熱式太陽熱利用システム: 1戸あたり12万円または15万円
3.次世代ZEH+実証事業(次世代ZEH+)
補助金額: 1戸あたり定額100万円
追加補助金額:
蓄電システム: 2万円/kWh、補助対象経費の1/3もしくは20万円のいずれか低い額
燃料電池 (エネファーム等): 1台あたり2万円
V2H充電設備: 補助対象経費の1/2もしくは75万円のいずれか低い額
太陽熱利用温水システム: 液体式: 1戸あたり17万円、空気式: 1戸あたり60万円
4.次世代HEMS実証事業
補助金額: 1戸あたり定額112万円
追加補助金額:
蓄電システム: 2万円/kWh、補助対象経費の1/3もしくは20万円のいずれか低い額
燃料電池 (エネファーム等): 1台あたり2万円
V2H充電設備: 補助対象経費の1/2もしくは75万円のいずれか低い額
太陽熱利用温水システム: 液体式: 1戸あたり17万円、空気式: 1戸あたり60万円
補助金の申請方法と注意点
ZEH補助金を活用する際には、以下の4点に注意することが重要です。
1. 登録された建築会社を選ぶ
ZEH補助金を申請できるのは、「ZEHビルダー」または「ZEHプランナー」として一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)に登録されている事業者に限られます。
ZEHビルダーはハウスメーカーや工務店などの建設会社、ZEHプランナーは設計事務所などを指します。
建築会社を選ぶ際には、必ず事前にこれらの登録があるか確認しましょう。
2. 申請後の設計変更はできない
一度ZEH補助金の申請を行うと、間取りや設備機器などの設計変更はできません。
そのため、申請前にエネルギー消費量や断熱効果を入念に計算し、確定した設計プランで申請を行うことが重要です。
慎重なプランニングを心掛け、申請内容に誤りがないようにしましょう。
3. 着工時期と完了期限を守る
ZEH補助金を申請した場合、決められたスケジュール内で着工し、工事を完了させる必要があります。
着工は「交付決定通知書」が到着してから行い、工事完了後は実績報告書を提出しなければなりません。
期限内に工事を完了させるため、計画的にスケジュールを管理しましょう。
4. 最新情報を常にチェックする
ZEH補助金制度は、年ごとに申請時期や補助金額などの内容が変わります。
受付期間が先着順であり、予算に達すると打ち切られる場合もあります。
各省庁のホームページなどを定期的に確認し、常に最新情報を把握することが重要です。
早めの申請を心掛け、変更や更新があった際には迅速に対応できるようにしましょう。
以上のポイントを押さえて、ZEH補助金の申請を行うことで、スムーズかつ効果的に補助金を活用することができます。
まとめ
ZEH住宅は「省エネ」「高断熱化」「創エネ」を追求した最新の住宅システムです。
ZEH住宅はエネルギー収支をゼロにする高い省エネ性能を持ち、国もその普及を支援しています。
光熱費を抑え、優れた断熱性能で一年中快適に過ごせるほか、停電や災害時にも電気が使えるといったメリットがありますが、一方で設置・メンテナンス費用がかかることなどのデメリットも存在します。
補助金を利用すれば、快適な住まいをお得に建てることが可能ですので、住宅購入を検討している方は、ZEH住宅のメリットとデメリットをよく理解し、慎重に検討することをお勧めします。
快適でエコな暮らしを実現するために、ZEH住宅を選択肢の一つとして考えてみましょう。
お困りごとがありましたら売買の窓口までお気軽にご相談ください。
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