売却
売却の流れ
市街化調整区域の戸建て売買は難しい?成功するケースと注意点を詳しく解説!
不動産売買において、市街化調整区域という言葉を耳にしたことがある方も多いでしょう。
この区域は、市街化を抑制し、農地や森林を保護するために設定されたエリアであり、建築や開発に厳しい制限が課されています。
そのため、市街化調整区域内の戸建て売買は難しいとされることが多いです。
しかし、適切な準備と知識があれば、市街化調整区域での不動産売買も成功させることができます。
本記事では、市街化調整区域の基本的な概念から、売買が難しい理由、売却しやすい不動産の種類、売買における注意点まで、詳しく解説していきます。
市街化調整区域内での不動産取引を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
市街化調整区域とは?
出典:SUUMO
市街化調整区域(しがいかちょうせいくいき)とは、日本の都市計画において、市街化を抑制し、農地や自然環境の保全を目的とした地域のことを指します。
都市計画法に基づいて指定され、市街化を計画的に制御するための区域として位置づけられています。
市街化調整区域は、市街化区域とは対照的に、新たな建築物の建設や土地利用の変更が厳しく制限されるエリアです。
【市街化区域と市街化調整区域の比較】
項目 | 市街化区域 | 市街化調整区域 |
---|---|---|
目的 | 街の活性化と発展 | 市街化の抑制と自然環境の保全 |
開発の自由度 | 高い | 低い(厳しい制限) |
インフラ整備 | 積極的 | 不十分な場合が多い |
住宅・商業施設の建設 | 奨励 | 原則認められない(例外あり) |
主な利用目的 | 住宅地、商業地、工業地 | 農地、自然保護 |
「市街化区域」は、街の活性化を目的とし、インフラ整備や住宅、商業施設を計画的に建設する地域です。
一方、「市街化調整区域」は、都市化の抑制を目的とし、無秩序な市街化の拡大を防ぐために指定されており、新たな建築や土地利用の変更が厳しく制限される地域です。
市街化調整区域の不動産売買が難しい理由
1. 建築に制限がある
市街化調整区域では、新しい建物の建築や既存建物の改築・増築が厳しく制限されています。
この区域は、都市の無秩序な拡大を防ぎ、農地や緑地を保護するために設定されています。
そのため、特定の条件を満たす場合を除いて、新たな開発が認められません。
市街化調整区域での開発許可の要件は非常に厳しく、容易に建物を建てることができません。
買主はこの区域の不動産を購入しても自由に建物を建てることができず、需要が少なくなるため、結果的に売りにくくなるのです。
2. ローン審査が通りにくい
市街化調整区域内の不動産に対する融資は、金融機関がリスクを懸念して消極的になることがあります。
新たな開発が難しいため、土地や建物の将来的な価値が不確実であり、担保価値が低く評価されることが多いです。
金融機関は融資に対して慎重になり、審査基準が厳しくなります。
結果として、ローンの審査が通りにくく、購入者が現金での購入を余儀なくされることが多いです。
3. インフラが整備されていない
市街化調整区域では、インフラ整備が市街化区域と比べて遅れていることが一般的です。
具体的には、以下のような問題があります。
道路・舗装されていない道路や狭い道が多く、交通の便が悪い。
水道・下水道:水道や下水道の整備が不十分で、井戸水や浄化槽を利用する必要がある。
電気・ガス:電気やガスの供給が不安定で、プロパンガスを使用する場合が多い。
インフラの整備不足は、生活の利便性を低下させるだけでなく、不動産の資産価値にも影響を与えます。
購入者は生活の利便性を犠牲にすることになり、不動産の魅力が低くなります。
市街化調整区域で売却しにくい不動産
農地
市街化調整区域の農地は、特に売りにくい不動産の一つです。
農地を農地以外に転用するには農地法による転用許可が必要ですが、この区域内では農業の継続が求められるため、転用が難しいです。
さらに、市街化調整区域の農地は、農地法と都市計画法のダブル規制を受けるため、売却がしにくくなります。
開発許可が得られない土地
市街化調整区域内で建物を建てるには「開発許可」が必要です。
しかし、この許可を得るのは非常に困難です。
具体的には、都市計画法第34条により定められた立地基準を満たさない土地は開発許可を得ることができず、売却が難しくなります。
例えば、市街化区域に隣接し、50以上の建築物が連たんしている地域でないと許可が下りにくいのです。
しかし、市街化調整区域内のほとんどの更地は立地基準を満たさないため、売却が難しくなります。
市街化調整区域で売却しやすい不動産
開発許可を得ている土地
市街化調整区域内でも、過去に開発許可を取得した土地であれば、その許可を取得した際と同じ用途・規模の建物を、改めて許可を取得せずに建築や建て替えが可能です。
既存の集落やその周辺にある土地
市街化調整区域内でも、既に家が建ち並んでいる集落やその周辺の土地においては、特定の条件下で許可なしに建築が認められることがあります。
地域ごとに条件が異なるため、詳細については市町村の役場に問い合わせると良いでしょう。
市街化調整区域での売買における注意点
市街化調整区域での不動産売買には、特有の注意点があります。
以下に主要な注意点を挙げます。
1. 開発許可の確認
市街化調整区域内で新たに建物を建てる場合、開発許可が必要です。
過去に取得した開発許可があればその確認を行い、新たな建築や再建築においても同様の条件で建築が可能かどうかを確認しましょう。
2. 用途制限の理解
市街化調整区域では、建物の用途や規模に関する制限があります。
特定の用途の建物(住宅、商業施設、工場など)が建築可能か、またその規模がどの程度許可されているかを事前に把握しておくことが重要です。
3. インフラの確認
購入予定の物件がある地域のインフラ整備状況を確認しましょう。
道路、上下水道、電気、ガスなどの基本的なインフラが整っているか、生活の利便性に影響を与えるため重要なポイントです。
4. 地域の将来計画
市町村の都市計画や開発方針を調べ、将来的に市街化区域に編入される可能性があるかを確認します。
これにより、将来的な資産価値の上昇やインフラ整備の見込みを把握できます。
5. 融資の可否
市街化調整区域内の物件に対する金融機関の融資条件を確認しましょう。
融資が難しい場合、自己資金での購入を考える必要があります。
6. 規制の確認
市街化調整区域内の建築や開発には特定の規制があります。
建築基準法や都市計画法などの法律に基づく規制を理解し、遵守する必要があります。
具体的な条件や手続きは市町村の役場で確認しましょう。
7. 再建築の可否
既存の建物がある場合、再建築が可能かどうかを確認します。
再建築が許可されない場合、その建物の維持管理や改修が必要となります。
8. 周辺環境の調査
購入予定の物件周辺の環境や住民構成、将来的な開発計画などを調査しましょう。
地域のコミュニティや生活環境が自分のライフスタイルに合うかどうかを確認することが重要です。
9. 専門家のアドバイス
市街化調整区域の不動産取引は複雑なため、不動産業者や弁護士、行政書士などの専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。
専門家のサポートにより、スムーズな取引が行えるでしょう。
まとめ
市街化調整区域での不動産売買には特有のリスクと注意点があります。
これらを十分に理解し、適切な準備と専門家のアドバイスを活用することで、リスクを最小限に抑え、成功する取引を実現することができます。
不動産の売買でお困りの方は、売買の窓口までお気軽にご相談ください。
最新の記事