売却
税金、経費
空き家解体後の固定資産税は高くなる?空き家売却という選択肢
多くの人が、住んでいなくても空き家に固定資産税がかかることを知っています。
しかし、空き家が建っている土地よりも更地のほうが固定資産税が高くなることを知っていますか。
「空き家を取り壊して更地にすれば、建物分の固定資産税が減って安くなる」と考える人は要注意です。
この記事では、更地にかかる固定資産税の考え方や、解体するだけではない空き家を売却するという方法を解説します。
空き家の処分方法を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
固定資産税の基本
土地や住宅などを所有していると毎年かかってくるのが固定資産税です。
まずは、固定資産税の基本を押さえましょう。
固定資産税とは
固定資産税は、土地や建物などの不動産に対して課される地方税です。
この税金は、固定資産の所有者が支払う義務があり、固定資産の価値に基づいて算出されます。
固定資産税は、その不動産が位置する自治体によって徴収され、その収入は地方自治体の公共サービスやインフラの整備に使われます。
具体的には、学校や病院の建設、道路や公園の維持管理など、地域社会のさまざまな公共事業に資金を提供するために活用されます。
固定資産税の納付先
固定資産税の納付先は、その固定資産が所在する自治体の役所、具体的には市町村役場または区役所です。
納税者は、地方自治体が指定する期日までに税金を支払う必要があります。
支払いは、役場や区役所の窓口、銀行、郵便局などで直接行うことができるほか、インターネットを利用した電子決済や口座振替も可能です。
固定資産税の計算方法
固定資産税の税額は、評価額と標準税理によって算出することが可能です。
固定資産税は、土地・家屋・償却資産の評価額(資産価値)に応じて算出されます。
【基本的な計算式】
固定資産税の基本的な税額の計算式は以下のとおりです。
標準税率は1.4%ですが、自治体によって異なる税率を適用する場合があります。
具体的な税率は、各自治体のホームページや窓口で確認することができます。
固定資産の評価額は、納税通知書に添付されている課税明細書の「価格」に記載されており、家屋などの建物については固定資産の評価額が課税標準額となります。
空き家を解体すると固定資産税はどう変わる?
更地は住宅用地の特例措置が適用されない
更地の固定資産税が高くなる主な理由は、住宅用地の特例措置が適用されないためです。
この特例措置は、主に住宅やマンションなどの敷地として利用されている「住宅用地」に対してのみ適用されます。
住宅用地では固定資産税の評価額が軽減され、新築住宅には更に3年間(マンションの場合は5年間)固定資産税が半額になる措置があります。
一方で、更地は「非住宅用地」と分類されるため、これらの税負担軽減の特例が適用されません。
その結果、更地の固定資産税は最大で6倍、都市計画税が約3倍に増加することがあります。
この高い税負担は、土地の有効活用を促進する意味もあり、アパートや一戸建てなどの建物を建てることで税額を下げるインセンティブとなります。
また、空き家を放置すると、特定空き家に指定されるリスクがあり、固定資産税のさらなる増加やその他のペナルティが課されることがあるため、解体や売却、活用の検討が重要です。
更地にすると固定資産税は跳ね上がる
先述したように、更地の固定資産税は最大で6倍、都市計画税が約3倍に増加することがあります。
しかし、実際には、更地になった土地の固定資産税評価額は全額ではなく、70%の課税標準額を用いて計算されます。
この計算によると、固定資産税は以下のようになります。
ここで、課税標準額は固定資産税評価額の70%です。
そのため、実際の税額は元の住宅用地の特例を用いた場合の6倍にはならず、おおよそ3〜4倍程度に収まることが一般的です。
都市計画税も同様に、更地の課税標準額を基に70%で計算されます。
空き家売却という選択肢
空き家を放置していると管理費がかかってしまいますが、売却すれば空き家を現金化できます。
相続したものの、空き家の活用方法がないならば売却という選択肢もあります。
空き家の管理から解放される
空き家を所有していると、以下のような管理作業が発生し、所有者にとって大きな手間となります。
定期的なメンテナンスと修理
空き家は住んでいる家と同様、定期的なメンテナンスが必要です。
屋根の点検、配管のチェック、壁の塗り直しといった作業が含まれます。
また、長期間放置することで生じる損傷や老朽化も対処する必要があります。
セキュリティの維持
空き家は盗難や不法侵入のリスクが高くなるため、セキュリティシステムの設置や定期的な巡回などが必要となります。
税金や保険の支払い
空き家であっても固定資産税や保険料の支払いが必要です。
これらは所有者の財政的な負担となり得ます。
法的な責任
放置された空き家が周囲に迷惑をかけたり、事故の原因となったりする場合、所有者は法的な責任を問われることがあります。
空き家を売却することで、これらの管理作業や負担から解放され、その時間やお金を他の用途に使うことができるようになります。
負担がなくなる
不動産を売却することによって、物件のメンテナンスや修理といった煩わしい負担から解放されます。
売却後の物件管理は不動産会社が担うため、売主は購入者に物件を引き渡すまでの期間、自由に時間を楽しむことができます。
また、売却から得られる資金を新たな投資や趣味に充てることも可能です。
さらに、税金や維持費の支払いからも解放されるため、経済的なメリットもあります。
活用予定のない空き家は売却しよう!
空き家を売却する方法には、解体せずにそのまま売却する方法、更地にしてから売却する方法、不動産会社に買い取ってもらう方法の3つがあります。
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
そのまま売却
空き家を住宅として売却する際には、主に二つの方法があります。
一つ目は「中古住宅」として売却する方法です。
これは、修繕費用や手間をかけずに売却できる点がメリットです。
実際の物件を見てもらうことで購入検討を促進できます。
しかし、建物が老朽化している場合、購入後にリフォームや修繕が必要となり、売却価格が下がる可能性があります。
また、相続後に住んでいない物件をそのまま売却する場合、建物の状態を把握しづらいため、契約不適合責任に注意が必要です。
二つ目は「古家付き土地」として売却する方法です。
これは、経済的価値がほぼない古い建物が建っている土地を売却する方法です。
老朽化が進んだ空き家の場合、この方法で売却できます。
メリットは、建物のリフォームや解体費用を負担することなく、そのままの状態で迅速に売却できる点です。
しかし、古い建物が付いている土地は、建物のない同じ広さの土地に比べて売却価格が低くなることがあります。
建物の価値が変わる築20年を目安として、築20年以内なら「中古住宅」、築20年以上経過している場合は「古家付き土地」として販売するのが一般的です。
中古住宅は新築住宅よりも安価で購入できるため、費用を抑えたい人や、自分好みにリフォームしたい人からの需要があります。
一方、古家付き土地の場合は解体費用がかからず、固定資産税を抑えたまま売却できるため、売却費用を減らすことができます。
不動産会社を選ぶ際には、査定額だけでなく、売却実績、対応の速さ、営業担当者の人柄や知識量も考慮して選ぶようにしましょう。
更地にして売却
空き家を解体して更地にして売却する方法には、いくつかのメリットとデメリットがあります。
メリットは、まず更地になることで、売主は建物の維持管理費用がかからなくなります。
さらに、新築住宅の建築を希望する人や他の利用方法を検討している人など、広範な購入者にアプローチできるため、早期に売却できる可能性が高まります。
また、更地の場合、購入者が解体費用を負担する必要がないため、買い手が早くつきやすい傾向にあります。
特に、建物の老朽化が進んで倒壊の恐れがある場合や、リフォームやリノベーションに多額の費用がかかる場合には、更地にする方法が適しています。
解体費用は発生しますが、その費用を売却価格に上乗せできる場合もあります。
一方で、売主が解体費用を負担しなければならない点がデメリットです。
また、更地にすると、建物がある場合に比べて固定資産税や都市計画税が高額になります。
建物がある場合は令和3年度まで減税措置の対象となりますが、建物を解体するとこの措置の対象外となり、固定資産税は3~6倍、都市計画税は3倍に増加します。
さらに、土地の条件によっては、同等の住宅が建設できない場合があります。
空き家を解体して更地にして売却する方法は、迅速な売却が期待できる一方で、解体費用や固定資産税の増加といったデメリットがあるのです。
買取依頼
空き家を不動産買取業者に売却する最大のメリットは、コストと手間をかけずに迅速かつスムーズに売却できる点です。
不動産買取業者は即金での取引が一般的であり、仲介手数料がかからないため、売主は費用を節約できます。また、業者からの法的手続きのサポートも期待できるため、取引がスムーズに進みます。
さらに、契約不適合責任が免除されるため、売主のリスクが軽減されます。
この方法は、特に急いで現金化したい場合や確実に売りたい場合に適しています。
一般的な仲介を通じた不動産売却では、買い手が見つかるまでに数か月から半年程度かかることがあります。
立地や築年数などの条件が良くない場合、売却活動が長引く可能性もあります。
しかし、買取なら最短1週間で売買契約が成立し、1か月以内に残代金の決済まで完了することができます。
ただし、売却価格は市場相場より安くなる点がデメリットです。
買取価格はリフォーム代を差し引いた価格で提示されるため、相場の約6~8割程度になります。
買取業者を選ぶ際には、別の不動産会社に仲介を依頼することも可能です。
不動産取引のプロである不動産会社に仲介を依頼することで、必要以上に安く買い取られるリスクや不利な条件を付けられるリスクを低減できます。
このように、空き家を不動産買取業者に売却する方法には、迅速でスムーズな取引が期待できる一方で、売却価格が低くなるというデメリットがあります。
【まとめ】不動産の売却に関するお問い合わせは売買の窓口
空き家を放置すると、さまざまなリスクや維持費が発生します。
管理費や税金の負担は、所有者にとって大きなデメリットです。
しかし、空き家の売却は手間がかかると感じる方も多いかもしれません。
「やることが多い」「経験がなくて難しい」という不安を持つ方も少なくありません。
このような場合は、不動産会社を味方につけることがおすすめです。
不動産会社は空き家の売却をサポートし、手続きの負担を減らして、スムーズな取引を実現するための大きな助けとなります。
売買の窓口では、不動産の売却に関するお問い合わせを受け付けております。
不動産の売買でお困りの方は、お気軽にご相談ください。
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